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05:00 かえでと紅蘭 紅蘭の部屋にて




+++++++++++++++


メンバーの殆どが寝静まった早朝の大帝国劇場。
まだ日が昇っていない為に辺りはまだ薄暗く、明るくなってきた東の空だけが唯一の灯りといえよう。

しかしそんな静まり返った劇場の中庭で、激しく動く人影がひとつ。
それは早朝から訓練を始めるのを日課としているカンナであった。

そしてそんな彼女の方へと近づいて行く影。
カンナはその気配に気付いたのか、ふと突きを繰り出す手を止めその影の方へと視線を向けた。

「お、さくらじゃねぇか。おはよう」
「カンナさん、おはようございます。毎日お早いですね」
 
にっこりと微笑んだカンナの視線の先には、同じように笑みを浮かべるさくら。
普段の桜色の袴ではなく真っ白なものを着ているのは、彼女もこれから剣術の朝稽古を始める為である。

「どんなに夜更かししてもこのくらいの時間になると目が覚めちまうんだよ。ここんとこずっと、お天道様より
あたいの方が早起きさぁ」
 
さくらの言葉に、カンナは空を見上げて呟いた。
帝劇のなかで一番最初に目覚める彼女は、やがて冬に近づいていくこの時期になると、なかなか昇ってくる
ことの無い日の光よりも早く起きている。
それは自然の摂理であるため仕方が無いのだが、暗いうちから出来る稽古は限られている為彼女は
歯がゆい思いをしていた。

「この季節はお日様もお寝坊さんですからね。あたしも、カンナさんを見習わなきゃ」
 
そんなカンナの言葉を聞き、さくらはぎゅっと白い鉢巻で頭を縛る。
何か明確な根拠があるわけではないのだがどこか気持ちが引き締まる思いがし、彼女は修行をする際は
必ずそれを身に着けていた。
 
そして彼女の手が鉢巻を離れ、腰に下げた日本刀の柄を握る。
 一方のカンナも修行を再開し、再びその足で空を蹴ろうとした……その時であった。
 
ズド―――ンッッ!!
 
「うぉっ!」
「きゃっ!」
 
突然辺りに響き渡った大きな爆発音に、二人はそれぞれ声を上げ反射的に肩を竦める。
しかし一瞬怯みはしたものの、秘密部隊の隊員である彼らはすぐにその爆発の元凶を探した。
 
もくもくと黒煙が上がっているのは、どうやら街では無く帝劇。
そしてそれが上がる場所を見つけた彼らは、すぐに身体の緊張を解いた。
 
非常事態ではない、これは単なる日常の風景である。

「あーあ、今日はまた派手にやったなぁ……」
 
自らの頭を掻きながら、カンナは黒煙を見つめて苦笑いを浮かべる。
それにつられてさくらもまた同じよな微笑みを浮かべ、溜息混じりに黒煙の上がる部屋の主の名前を
呟いたのだった。

「もう、紅蘭ったら……」
 
 
*    *    *


爆発音により一瞬の緊張感が生まれた劇場内であったのだが、緊急時にはけたたましく鳴り響く警報音も
無く、また辺りに不穏気配を感じることも無い。
その為全てのメンバーが日常的にある人物の部屋から響く爆発音であったのだと考え、その殆どが再び
ベッドの中へと潜っていった。
 
しかし、そうはいかなかったのが発生源となった場所の隣の部屋の住人達である。
そして不幸なことに、その中には一番機嫌を損ねてはいけない人物が含まれていた。

「ちょいと紅蘭ッ! 睡眠不足はお肌の一番の敵ですのよ! わたくしの美しい珠のような肌が荒れて
しまったらどうしてくださいますの!」
 
扉を蹴破るのではないかと思われる程の勢いで紅蘭の部屋へと怒鳴りこんできたすみれは、焦げくさい
匂いの残るそこに踏み込むや否や、黒煙により真っ黒になってしまった彼女の眼前まで迫る。

「紅蘭~大丈夫~?」
 
そして彼女の後背後のドアの向こうから、眠たそうに目をこするアイリスがその様子を覗きこんでいた。
昨晩メンバーの誰よりも早い時間に眠った筈の少女であったが、どうやら未だ眠り足らないらしい。
ふぁぁと大きな欠伸ををすると、壁にもたれかかりうつらうつらと船を漕ぎ始める。

「あ~堪忍や。ちょぉっと手元が狂ってなぁ……」

一人穏やかなアイリスとは対照的に、怒り狂うすみれを紅蘭は必死に宥めていた。
確かに彼女も故意で爆発を起こした訳では無いのである。情状酌量の余地は十分にある筈なのだ。

「狂ったも何もありませんわ! こんな時間から爆発を起こさないでくださいまし!」
 
しかし、機嫌の悪いすみれにはそんなものは存在しないらしい。
女役のトップスタアであることを誇りとするすみれは、それに傷をつける恐れのあることを極端に嫌うのだ。
その為たかが一日や二日の睡眠不足で肌の張りが損なわれることはまず無くとも、少しでもその恐れが
あるとなれば彼女にとっては一大事である。
 
怒りの形相で詰め寄るすみれに、紅蘭は太刀打ちできずにゆっくりと後ずさってゆく。
そして彼女がやがて壁際まで追い詰められた時、ふと半ば眠りかけているアイリスの背後から
4人目の人物が顔を出した。

「ふぁ……朝から、賑やかね」
「あれ、かえでお姉ちゃん」
 
自らの肩を両手で抱いたその名を呼び、アイリスはゆっくりと瞼を上げる。
しかし欠伸を噛み殺したかえでは、やはり普段の姿とは違うどこかぼんやりとした表情で修羅場と化した
室内を覗いていた。

「ちょいと、かえでさんからも仰ってくださいな。昼間ならまだしも、こんな朝早くから爆発を起こさないようにと」
 
かえでの方へと近づいていきながら喚き散らすすみれの姿に、お嬢様の淑やかさは一切見られない。
寝ぼけ眼のまま彼女に視線を合わせたかえでは、思わず耳を抑えてこう言った。

「私はあなたの声の方が、頭に響くわ……ふぁ……」
「なっ、し、失礼ですわよ!」
 
その言葉はやはり彼女の日に油を注いだらしく、すみれはすぐに彼女に喰ってかかる。
しかしすみれの性格上それは容易に予想できること。普段のかえでならば、もう少し言葉を選ぶことで彼女を上手く扱うことができる筈。
 
しかし現在の彼女は、どこか焦点の合っていない目でぼんやりとすみれを見つめており、身体も心なしか
フラフラしている。その姿はまるで酔っぱらいのようなのだが、酒の匂いはせず、また彼女の酔い方はもっと
激しい為その可能性は低い。

「お姉ちゃん、大丈夫? フラフラしてるよ……?」
 
先程の彼女の言葉で完全に目覚めたのか、アイリスが目をぱっちりと開けて問いかける。
周りの人間もまた彼女を訝しげに見つめているところをみると、そう思っていたのは少女だけでは無いらしい。

「仕事が終わってなくてね、昨日一睡もしてないのよ」
 
かえでは大きな欠伸を噛み殺した後、非常にゆっくりとした動作でアイリスを見下ろした。
そして彼女の言葉に続いて、紅蘭がぽんと手を叩いて嬉しそうに口を開く。

「なんや、かえではんもかいな。ウチも発明に夢中で、昨日から一睡もしてへんで」
「だからそれをお止めなさいと申しているでしょう!」
 
そして彼女徹夜のせいで眠りを妨げられたすみれにまた怒鳴られ、ビクリと肩を震わせた。
 
そんな紅蘭と眠そうなかえでを交互に見上げたアイリスが、やがて首を傾げる。

「でも、紅蘭は元気だね」

 不思議そうな表情を浮かべたままで少女がそう呟くと、再びすみれの怒りの矛先になっていた紅蘭が
それに喰いついた。実際、帝劇イチの熱しやすさと冷めにくさを誇る彼女の怒りを振り払うには、さっさと別の
話題を振るに限るのである。

「そりゃ当たり前やないか。大好きな発明をしとるんやから、眠気なんて感じとる暇は無いで」
 
半ばすみれを押しのける形で前に出た紅蘭は、アイリスの低い目線に合わせて屈むと、その頭を優しく
撫でながら言う。その姿は、幼い妹を可愛がる姉の姿そのものであった。

「……そんなに熱心に、何を作ってらっしゃいましたの?」
 
アイリスの手前少しだけ怒りを鎮め、すみれは腕を組むと先程よりも少しだけ音量を落とした声で問いかける。
しかし未だ完全ではないらしく、表情が依然として憮然としたままなのはいうまでもない。

すると、少女の頭を撫でていた紅蘭の手が止まった。
その手はゆっくりと彼女の眼鏡の淵へと上り、同じように屈んでいた身体もすみれの視線に合わせるように
起こされる。
更にその口元には、怪しげな笑みが浮かんでいた。
これではまるで彼女は科学者ではなく、マッドサイエンティストそのものである。

「ふっふっふ……全自動食物発酵促進マシーン、その名も『かもすくん』や」
 
その怪しさのままで宣言した彼女が、その指で示した指の先には黒こげのガラクタ。
やはり先程の爆発音の元凶は、彼女が徹夜で作っていた発明品であったようである。
 
しかし、自信満々で宣言した彼女に対して聴衆の反応は薄い。

「かもすぅ……?」
 
言葉の意味の分からないのか、アイリスは彼女を見上げ不思議そうに首を傾げている。

「どうしてまた、そのようなものを?」
 
そう問いかけたすみれも、未だ憮然とした表情のまま。

そして無言のかえではといえば、前夜の徹夜がかなり負担になっていたらしい。
立ったまま倒れることもなく、器用に船を漕ぎ始めていた。

だが、聴衆の反応だけでへこたれるような紅蘭ではない。
彼女はまるで本当に大発明を成功させたかのように自信満々な様子で腕を組むと、ゆっくりと歩きながら
その経緯を説明し始めた。

「ウチ、日本の食べ物は大好きやけど、納豆だけはどうしてもアカンのや。でも好き嫌いはせんほうがええ。
せやから、納豆を自分で作ってみたら愛着が湧いて食べれるようになるんやないかと考えたんや」
 
大げさに身振り手振りを交えながら紅蘭は話しているものの、聴衆の反応は変わらない。
アイリスは首を傾げたまま、すみれは憮然とした表情のまま。

尤も後者の眉間に皺が追加されたのは、とうとう倒れかけたかえでが彼女に縋りついたから。
そのまま床の上に捨てる訳にもいかなかった為、結局彼女を支える羽目になっていたのである。

「でも納豆は大豆を長いこと置いて発酵させなあかん。発酵いうんは腐らせることやで、これから先の部屋の
温度では時間がかかりすぎる。だから上手いこと高い温度を保てるような機械を作れば、少しでもその時間を
省けるやろ?」
 
にっこりと微笑んだ紅蘭は、唐突にすみれに向かって問いかける。
自分と同じくらいの体重を一人で支えているすみれの機嫌は確実に先程とは違う理由で悪くなっては
いるものの、紅蘭自身に罪は無い為怒鳴りつける訳にもいかない。

「……つまり、納豆製造機を作っていらっしゃったのですわね」
 
しかしその努力も甲斐も無く、どうにか感情を抑えてはいるものの、言葉を発した彼女の声トーンは低かった。
 
更に彼女にとっては悪いことに、その予測はどうやら紅蘭のお眼鏡には適わなかったようである。
彼女ばびっと人差し指をすみれの眼前にまで近づけると、声高らかに彼女の言葉をこう訂正する。

「失礼な、納豆だけやないで! 味噌にヨーグルトにチーズ、それに上手いことすればお酒だって……」
「つ、作れるの? お酒が!?
 
予想外の人物からの突然の言葉に、紅蘭の言葉が途切れる。
その声の主以外の全ての視線が集まった先では、先程までとは違うぱっちりとした目で紅蘭を見つめる
かえでの姿があった。

「ま、まあ難しいけど……できんことは無い筈やで」
 
期待を込めた目線にたじろいだ紅蘭がそう呟くと、縋りついていたすみれから離れたかえでが近付き
その手をぎゅっと握りしめる。

「お酒と聞くと飛び起きますのね」
 
取りつかれていた肩を軽く廻しながら、すみれはうんざりとした表情で溜息混じりに呟いた。
その表情を見るに、彼女の感情は怒りというよりは呆れの境地に達しているらしい。

「紅蘭、それちょっと貸してくれないかしら」

すみれの言う通りすっかり目を覚ましたらしいかえでは、手を握ったままでそう紅蘭に迫る。

「貸すも何も、今爆発してもうたやないか」
「えっ、じゃ、じゃあまた作り直して! 買わなくってもお酒が飲める、そんな素敵な機械……!」
「あ、えーと……」
 
目を輝かせるかえでに返す言葉が無く、紅蘭は言いよどむ。
相手の熱意は彼女の発明への熱意と同様並々ならぬものがあるらしく、その様子を見るになかなか
解放してはくれそうにない。
 
だが、お手上げ状態の紅蘭に意外なところから救いの手が差し伸べられた。

「あ~、かえでお姉ちゃん、毎日いっぱいお酒作って飲む気なんでしょ!」
「う……」
 
アイリスの言葉に、思わずかえでは言葉を失う。
そして力の抜けた彼女の手から紅蘭が自らのそれを取り戻した同時に、今度はすみれが口を開いた。

「どうやら、図星のようですわね。紅蘭、納豆くらいわたくしがいくらでも買って差し上げますから、
その納豆製造機を作るのはお止めなさい」
 
ゆっくりと彼女に近づいた彼女は、言葉を言い終えたのと同時にぽんとその肩に手を据える。

「えぇ~! せっかく上手くいきそうやのに……」
 
その手の重さがその華奢な外見に反して重たいものであることを薄々感じた紅蘭であったが、
発明への意欲が抑えきれずに思わずそうぼやいてしまった。
 
その途端に、彼女の肩に置かれた手にぐっと力が篭る。
嫌な予感を感じた紅蘭はおずおずとすみれの方を見上げた。
 
そこには、今までの怒りを凝縮したまるで鬼のような彼女の顔があった。

「上手くいっては困りますのよ! ただでさえ支配人が飲兵衛だというのに、その上副支配人まで
そうなってしまっては、帝劇の面子に関わりますわ!」
 
今までの鬱憤をすべて晴らすかのような叫びは、先程の爆発にも勝るとも劣らない程の音量で劇場じゅうに
響き渡る。その迫力には紅蘭をはじめ、アイリスやかえでまでもが目を丸くした。
 
そしてどうやら、彼女の怒りの声は劇場中の安らかな眠りの時間を打ち破るトドメの一撃にもなったらしい。

「付け加えれば、それは法律に反しますよ……かえでさん」
 
その雄たけびのせいで激しく上下していたすみれの肩に触れ、そう言いながら現れたのはマリア。
その後ろには大神が居り、少し離れたところからレニも顔を出している。

「あ、みんなどうしたんや? こんな朝早く……」
 
マリアの声に振り返った紅蘭が、三人を見つめて不思議そうに呟く。

「爆発の音が一度でも、これだけ騒がれたら眠れないよ」
「……織姫以外、ね」

駆け寄ってきたアイリスの頭を撫でながら、その問いに答えたのは大神。
そしてそれに続き、レニが長い長い寝坊で有名な仲間の名を付け加えた。

「ともかく、私もその発明はどうかと思うから……悪いけど中止して貰えないかしら? ねえ、隊長」
 
ポンポンと軽く背中を叩いてすみれの怒りを鎮めながら、マリアはそう言って大神を見る。
問われた大神は暫く考えるような素振りを見せたものの、やがてこくりと深く頷いた。

「ああ。流石に帝都防衛以外の理由で、法律に触れる訳にはいかないからね」
 
華撃団の隊長が下した決断は、一般的に考えれば当たり前のこと。
しかし紅蘭にとっては、それは非情なものであった。

「そんなぁ……」
「当然ですわよ! 全く」
 
先程の発散とマリアの気遣いによって大分怒りを鎮めたすみれが、ふんっと鼻を鳴らして言う。
結局一番振り回されたのは彼女である為、この反応は当然だろう。

「さ、皆せっかく早く起きたことだし、少し早いけど朝ごはんにしましょうか」
 
マリアはそんな彼女の様子を見て微笑んだ後、ぽんと手を叩いて自らの提案を述べる。
彼女の言う通り普段の朝食よりはかなり時間が早いが、こんな機会も滅多に無いため最善の提案といえよう。

「わぁーい! アイリス、今日はホットケーキがいいな!」
「それもいいわね。じゃあ、お手伝いを頼んでもいいかしら?」
 
最初に声を上げたアイリスがマリアの服の裾を引いてねだると、彼女はにっこりと微笑んで答える。
すると、アイリスの表情が更に明るいものに染まった。

「うん! ねえねえ、レニも一緒にお手伝いしようよ」
 
今にも飛び上がりそうな勢いで言った彼女は、今度は自らのすぐ傍に立つ少女の手を握ってそう誘った。
普段あまり表情を変えることが無い彼女は珍しく目を丸くすると、やがて少しだけ頬を染める。

「……うん」
 
彼女がそう呟いて小さく頷くと、アイリスはにっこりと微笑んだ。

「それでは、わたくしは美味しい紅茶を淹れて差し上げますわ」
「ええ、それがいいわね。紅蘭も、部屋を片付けたら降りてらっしゃい」
 
すっかり機嫌を直したすみれの言葉にマリアは頷くと、続いて紅蘭にそう指示を出す。
こうしてテキパキと動く様は、流石副隊長といったところか。

「りょーかい。ああ、これは骨が折れるで……」
 
命じられた紅蘭は溜息を吐き、散らかって真っ黒になった自室を見つめて肩を落とす。
発明が失敗した上に更なる研究を強制的に止められた彼女にしてみれば、今回の件は災難以外の
何物でもない。
 
こうして殆どの隊員に指示を出したマリアは、最後に残った大神の方に向き直る。

「隊長、申し訳無いのですが少し手を貸して頂けないでしょうか?」
「ああ、何だい? 料理はあまり得意ではないんだけど……」
 
上官である彼に恐縮しながらのマリアの言葉に、大神は苦笑いを浮かべる。
どれだけ美味しい食材であっても見る見るうちに食べられないものへと変貌させてしまうすみれ程では
無いだろうが、マリアやさくらのようにそれが得意という訳では無い。
一般的な男性であれば当然の反応である。
 
しかし、彼女の頼みは料理の手伝いでは無かった。
マリアは先程からずっとその場に居ながらも、メンバーの殆どが集合してから一度も言葉を発することの
無かった人物に近づき、その両肩に手を置く。

そしてゆっくりとして口調で、驚愕の事実を呟いたのだった。

「……かえでさん。眠っているようなので、私と一緒に部屋まで運んでは頂けないでしょうか? 眠っている人を
運ぶのは、一人では骨が折れますから」
「え……」
 
マリアの言葉に大神だけではなく、その場に居る全員が一斉にかえでを見る。
 
あれだけ騒ぎを大きくした元凶は、深く頭を垂れたままでしっかりと瞼を閉じ、安らかな表情で
眠りこけていたのだった。

+++++++++++++++
紅蘭と銘打っていてもなんかすみれ様の方が出張ってしまったような……(汗)
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