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01:00 かえでとマリア 屋根裏部屋にて

注意
マリかえの百合です
更に多分このブログ史上一番際どいモノだと思われます。ご注意ください。
(いや……大したことないですけどね・汗)



+++++++++++++++


02.jpg



劇場の誰もが寝静まった、真夜中の劇場。

日中でさえあまり人気の無く薄暗い屋根裏部屋は、真っ白な月明かりだけが辺りを淡く照らしていた。

そんなまるでスポットライトのような光の中心で、マリアはうっすらと額に浮かぶ汗を拭いながらにっこりと
微笑む。

「どう、されたいですか?」

彼女はそう呟いて、床に寝そべるキャンバスに刻まれた赤い痕のひとつに軽く触れた。
月の明かりに照らされて同じ色に染まっていたそれは、彼女の言葉に小さく震える。

上気したその表面はほんのりと赤く染まり、汗でじっとりと濡れていた。

「何か言ってくれないと、私はどうすればいいのか分かりません」

その中心からつうと指を滑らせ、マリアはキャンバスの一番高いところにある突起に触れた。
再び全体が大きく揺れると、彼女はその耳元に屈んでそっと囁く。

「ねえ、かえでさん」

思わず歪んだ口元から、言葉と共に吐き出された熱い吐息。
それにつられたのかぴくりと身体を震わせたかえでは、やっと彼女の望み通りに口を開いた。
 
 

月を見ながら酒を嗜むのも風流だと、先に言い出したのはかえでである。
だが夜に薄着で外に出るというのも、
若い女性としては流石に躊躇われる。

そこで月を眺めるのに丁度よい大きな窓があり、その上人気のない屋根裏部屋へ行こうと誘ったのは
マリアであった。

しかし最初こそは月を見ながら二人で盃を傾け他愛ない話をしていたものの、やはりそこは二人だけの空間。
多くの人間と共同生活をしている彼らにとって、見られているのが月だけという時は何よりも貴重な時間で
ある。

更にそこに酒という媚薬が加われば、もう単なる月見酒という訳にはいかなかった。

「もう、駄目って言ったのに……」

かえではため息混じりにそう呟くと、脱ぎ散らかした上着で赤い痕が散りばめられた上半身を覆う。
未だ下半身にはなにも身につけていない状態であったものの、すっかり疲れ果ててしまったのか
それを隠す様子は無い。

「そう仰る割に、全く嫌がってはいなかったようですけれど?」

そんな彼女を見つめ含みのある笑みを浮かべたマリアは、胸元まで開いた自らの上着をほんの少しだけ
整える。
その首筋には、かえでと同じような赤い痕。
勿論それを刻んだのは、すく傍で顔を赤くしている彼女の恋人である。

「ま、まあ嫌って訳じゃなくて……」

かえでは恐らく照れ隠しなのかそんなことを呟き、ふいと相手から視線を外す。
やがて彼女が窓枠に手を掛けそこに顔を埋めると、マリアはそんな恋人を後ろから抱き締めた。

「……温くなっちゃったわね」

彼女の行為に抵抗することなく、しかし気だるげに少しだけ顔を上げたかえでは、飲みかけのままでそこに
置かれたグラスに触れた。
いくら寒くなってきたとはいえ長時間常温にさらされた冷酒は、彼女の言うように
もうすっかり温くなっていることだろう。

だがそんなグラスをマリアはかえでから取り上げ、その中身を一口含む。
勿論、その味は美味であるとはとてもいえない。

「これは、とても飲めたものではありませんね」

ただのアルコールを含んだ液体へと成り下がった酒を喉の奥へと押し込み、マリアは苦笑いを浮かべながら
そう呟く。

「えっ、そんなに?」

その言葉に好奇心をそそられたらしいかえでは、彼女の持つグラスに手を伸ばした。

しかしマリアはグラスをすぐには差し出さず、もう一度自らそれに口づける。

そしてまた一口を口に含むと、かえでの唇に自らのそれを押しあてた。


自らの唇を介し、アルコールがかえでの身体へと流れ込む。
だがマリアは口移す役割を終えたそれを、すぐに離そうとはしなかった。

そしてかえでもまた相手の突然の行動に抵抗することはなく、二人は暫くの間、もう何度目かの深い
口付けを交わす。

「……あまり高いものではないから仕方ないけれど、後で捨てておくわ」

やがて熱い吐息と共にお互いの唇が銀の糸引きながら離れると、かえでの口からそんな言葉が漏れる。

「でも、私達がもっと熱くなれば……この酒もまた冷たく感じられるかもしれませんよ」

しかしグラスを軽く振ったマリアは悪戯な笑みを浮かべてそう言うと、かえでの髪を軽く撫でた。

「もう、何よそれ」

ふっと笑ったかえでは口ではそう言ったものの、彼女の手を振り払うことは無い。

やがて暫く髪を撫でていたマリアの手が、ゆっくりと彼女の身体のラインを撫ではじめた。

「今度は、素直なんですね」

大きく開かれたままのかえでの服の中をまさぐりつつ、マリアは熱い吐息が混ざり始めた彼女の耳元で囁く。

「……酔って、いるだけよ。それとも、こんな私は嫌?」

かえでは息の合間にそう呟いてマリアの方を見上げると、ふとその口元に意味深な笑みを浮かべた。

そんな彼女の誘いに乗らない選択肢など、マリアの中には存在しない。

「いいえ、とんでもありません」

その言葉と同時に絡み付いてきた相手の腕を取り、マリアはまた誘われるがままにかえでの唇を塞いだ。
 
やがて重なりあう二つの影を見つめるのは、夜空に浮かぶ月の光だけであった。


+++++++++++++++
じゅうはちきんとじゅうろっきんと一般の境が分からない今日この頃。
取り敢えずこのくらいまでなら、個人的にこっちでアップおっけーだと思っております。
実際どんなもんなんだろう? もっと危ないの普通に見るけどね(笑)

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