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こんばんは。
サクラ2をプレイしたいのですが、バレンタインに苦しんでいるためなかなか手が付けられません。
終わったら、起動しようと思います。
早くOPでかえでさんがチラっと映るところをもう一度見たいです(できれば一時停止したい……)

さて、この間から連続ですがサクラの携帯サイトの話。
明日がバレンタインということもあり、そちらの方もその話題一色でございます。
(早く壁紙で照れ顔のかえでさんを配布してくれよ頼むから……!)

そして、本日から正月に引き続きバレンタインのイベントが行われております。
まあ、イベントといっても壁紙を配布したり(全部既出の絵だったけどね!)グッズの抽選があったりするだけ
なのですが(当たったこと無いけどね!)、今回は行事が行事だけにもうひとつ追加されておりました。

『好きなキャラにメールを送ると、そのキャラから返事が貰えるよ☆』
……というやつです。
まあ、公式がキャラクターを使ってこちらにメールを送信するだけということは分かっておりますがね。

ですが、日々の日記のネタとしては素晴らしい材料であることには変わりはありません。
私は早速、あの方からのメッセージを頂こうとお名前を探しましたよ。

ええ勿論、かえでさんの(にこ)

ですが、何処をどう探しても『藤枝かえで』の名前が無い。
帝都巴里紐育のヒロイン全員と、更に2人の隊長の名前はあるのに……かえでさんの名前は無い!

え、何コレ……いぢめ?
(まあ、限定の壁紙すらいらっしゃらなかったので予想はしておりましたがね)

さて、そういう公式でのいぢめは『全部某ロシアの方が独り占めしているんだ』という痛い脳内補完で理解
しておいて、ではかえでさんにメッセージを頂けない以上私は誰にメールを送ればいいのか。

まあ、すみれ様はきっと相方様がメールをしてくれるだろうということで置いておくとして……。
やっぱり、マリアさんしか無いですよね。分かってますよあっはっは。

という訳で、公式宛にメールを送信。
空メールでもよかったのですが、それに返信されるのも何か悲しかったので三行だけメッセージを
打ち込んでみました。

そして、待つこと一晩。
(送ったら速攻で返信が返ってくるプログラムかと思っていたのですが、返信が来たのは今日でした)
思いっきり寝坊した私の携帯に、友人からのメールに混ざってマリアさんからの返信が来ておりました。
(ちゃんと名前が『マリア・タチバナ』になってたんですよ。凝ってるなぁ……と思ったんですが、世の中の
 そういうサービスってそういうものなんですかね?)

友人に返信をした後、さてどんな文面なのかと思いながら恐る恐るメールを開けてみました。

……えっと、さすがにここに全文転載するのは著作権云々に引っかかるのかなぁ(ネタバレにもなるしね!)と
チキン野郎の私は考えてしまったので全て載せはしませんが。

何か、もう駄目な脳味噌を持つ私としては……物凄く萌えました。
いや、私宛にマリアからメッセージが!というわけではなくて……もう何か『見せつけやがってコノヤロウ!』
という意味で。

ね、まさか文面に『酒の飲みすぎに気をつけろ』とか書いてあるとはね。朝から吹いちゃったじゃないか!
(しまったやっぱりバレンタイン個別にすればよかった……! と思ったのは内緒です)

というわけで相方様、またマリアさんのメールについてはオフでお知らせします。
最後の2行が神だったとだけ、ここには記しておきますね。

そしてこの話題の最後に……朝から妄想爆発のもう駄目だな自分の頭に乾杯!
何かもう、駄目ですねあはは。
(でも未だ、うちのかえでさんは巴里を彷徨っております。ロベは堪能したけどグリが見つからねえ!)

さて、次の話題は簡潔に。
昨日の相方様の記事でもありました『MKタクシー』。
私この間、テレビで見かけたんですよね。何でも不景気だから人員募集して貢献するみたいな話で。

でもって、そこでこの会社の正式名称が分かりました。
何のことは無いです。普通に『エムケータクシー』と呼べばいい。それだけです。

まあ、何の略かは知りませんけどね(笑)
その辺は妄想補完した方が楽しいじゃないですか! 今度京都へ行ったら絶対乗ろうと思います。

さて、そんなこんなで今日の話題は終了です。
そして本日はバレンタイン前日ということで……ネタを1本上げておきました。

相当深読みしない限り百合要素は無いですので、苦手な方も大丈夫だと思いますはい。
しかも明日に続くとかね、更にまだ全然完成してないとかね……!

皆様、私は今日徹夜です。
栄養ドリンクの味が苦手な上、カフェインが効かなくていくらでも寝られる私に、誰か徹夜できる方法を
教えて下さい。

それでは、バレンタイン(前日)ネタは各種返信の後からどうぞ~

【私信】

→塩絡み様
おめでとうございます~! 喜んで頂けたようでこちらも嬉しいです。
しかし果たして上手くリクに合ったものが出来上がるのかどうか……まだ流れしか考えておりませんが
不安で仕方がありません。
というか、もう私のやりたいことを殆ど詰め込んでしまったので何か大変なことになっております(笑)
そして本当に長丁場になりそうなので、この間の裏の話共々気長にお待ち頂ければ幸いです。
しかし、本当に今月強運ですね! 愛さん公式の件も拝見いたしました。
おめでとうございます! 羨ましい!

そして私信で頂いた『ランブルローズ』ですが、何か凄いゲームですね(笑)皆、身体柔らかいなぁ……。
取り敢えず愛さんの声を私の声で掻き消さないように頑張ろうと思います。

でもってわんこなトップスター! 可愛い!
すみれ様は世間ではSな方なのかなぁ? と勝手に思っておりましたのでわんこな彼女を妄想して大丈夫かと
不安だったのですが、何だかんだで皆さん好きそうなので安心しております。
ああ、新春にもっと出演されていれば……二枚目の席でカンナと一緒にふんぞり返っていたら
『キャラ的に……』とかかえでさんに言われて無理矢理三枚目に行かされる姿なんぞも目撃できたのに!
まあ、最初の新春で『悪の手下その1』の格好でキメている辺りで、あの方は三枚目確定だと思って
おりましたがね(笑)
いやぁ、『新・青い鳥』って素晴らしい! トップスターもご出演なんて万歳!

マリかえにロベリア投入、ご賛同頂きありがとうございます。
何と言いますか、マリアを物凄く焦らせたいんですよね! 
まあ『あばうと』にある通りがうちのマリアさんなので日々かえでさんを見守っていることは確かなのですが、
帝都組の中ではあの人一番怖いので誰も太刀打ちできないと思うんですよね!
そこでロベリアなら、そんなのへでもないといった感じでガンガンに攻めていけると思うんですよ。
でもって私も、面白がってちょっかい出しまくればいいと思います。
うん、かえでさんの唇だって奪っちゃえ!(ヲイ)

あれですね、もうマリアさん夜にかえでさんの部屋から出られませんね。
ああ、4が終わったら一度書いてみたいです……マジで。
(マリかえでマリかえ←ロベでロベグリって……需要があるのかどうか分かりませんが・笑)

それでは、メッセージありがとうございました!
お忙しいようですが、体調と花粉にはお気をつけ下さいませ。


→颯太様
す、すいません心配かけまして……。おかげさまでほぼ完治致しました。
いやぁ、口内炎は嫌ですね。食べるの好きなので辛かったです。

テストという響きが私なんぞは懐かしく感じられますが、本人にしてみれば嫌で仕方が無いですよね。
私は英語と数学が嫌いというどうしようもない生徒のくせに、歴史ばっかり勉強しておりました。
よい結果になるよう、遠い所からではありますが応援しております。


【拍手返信(くらゆき)】

→蓮華様
『あばうと』をご覧になられたようで……うん、何かカオスですみません(土下座)

マリアさんはキザな台詞をかえでさんに、というのは私もよく分かります!
何ででしょう、あの人を公衆の面前で崩せないんですよね。しかもカンナと違って一歩間違えればネオ○マンス
な台詞もよく似合うという(笑)
しかし、どんなにカッコよくキメようとも……あの人の脳内はお花畑です(断言)

かえすみ、もうマイナーにも程があるCPだと創作し始めた当初は思っていたのですが、何だかんだで好評
のようで嬉しいです。そしてそういう視点が広がると、ショウを見る時にも色々な妄想が蔓延って大変です。
『時の流れに』が好きで仕方が無い辺り、私ももう末期ですね。
すみれちゃんがわんこなのは、きっとウチだけだと思います(笑)
ああ、もっと増えないかしら……。

そしてマリすみ、全く絡まないので散々悩んだ挙句の結果がコレでした。
『新・愛ゆえに』とかでもマリアさんはすみれさんに冷たいような気がしたので……というより、他の年下の
メンバーへの対応とすみれさんへの対応って違いますよねあの人。
さくらがトップになった後もすみれのような対応をしたかといえばそうでもないし、ううん、もっと絡んで
くれないかなぁ。
でもってこの組み合わせは、引退公演の背中合わせの構図が大好きです。

最後のイラストの構想は、ふと私は思いついたものです。
何だかんだで、皆最強なあやめさんの掌の上で踊っているんですよ……。
かえでさんを出したいが為に滅多に出せないあやめさんですが、いつか私も書いてみたいですね。
(問題はどうやって文章だけでかえでさんとの違いを出すかですが……)

こんなサイトですが、気に入ってくださってありがとうございます!
まあこんなにカオスなサイトも珍しいと思いますので、これからもお気軽に見て行ってくださいね。

そして、最後にすみれ様の話。
そうか、結構ショッキングなことを仰るんですか彼女は……。
(相方様にも『1回聞いただけじゃよく分からない』と聞いておりました)
確かに、前夜でもマリアの話のように深い関わりを持った訳でも無く『救われた』というより『自らの意思で選んだ』という感じが強かったように思うので、彼女のように深い関わりがあったとは思いませんでしたが……。
(撃った際もすみれだけには褒められましたしね)
う~ん、どちらにせよ一度ヒロインにしてみなければ分かりませんねぇ。
今度のあやめさんの誕生日ネタでちょっと使いたいと思っておりますので、どちらにせよ夏までにはヒロイン
にしたいと思います。
頑張って、彼女に尽くしますよ私は(笑うのを抑えながら・ヲイ)

それでは、メッセージありがとうございました!
歌謡ショウのDVD、是非お楽しみくださいませ~。(カメラは色々必見ですよ、マジで!)



→飛竜彩女様
プレイ日記をお読み頂きありがとうございました!
最終話の始めの例のイベントは……というより最終話全体を私もどう書こうか悩みました。
さすがに鬱になるイベントを延々と書き続けても面白くないだろうし、だからといってキャラが死んでるのに
ギャグにする訳にもいかないし。
まあ、最後にすみれ様が全てを吹き飛ばしてくれたんですが(笑)

カンナは最初だったのにはびっくりでした!
どうやらさくらさんがヒロインの子とそれぞれ入れ替えになるようですね。すみれ様でクリアした相方様
の話と照合させますと……。
カンナはらしいといいますか、やっぱりそうなっちゃうんだろうなぁ……といいますか。
皆1人になっちゃ駄目だって! とゲーム画面に向かって言っておりました。
しかし、セラ○ン世代にはキツイですねぇ。オンナノコが敵巻き込んで自害するとか……。
特にカンナとすみれ様が目立ったイベントだと思うので、イイ場面だとは思ったのですが……キツイです。
ヒロイン変えるたびあの場面を周回しなければならないと思うと……ねぇ。

そして話は変わってお正月イベント。
そっか、やっぱりデレるんですねぇ! 可愛いカンナというのも少し見てみたい気がします。
でもそうなると、私もやっぱり『別に大神さんと組み合わせなくてもなぁ……』と思う側の人間ですので、
失礼ですが邪魔だと思ってしまうかもしれません。
というか、カンナとマリアだと……身長が、可哀想なことに!(笑)
カンナはともかくマリアは、もう少し低くてもよかったんじゃないでしょうか……?
あ、私のヒロイン紅蘭も凄く可愛かったですよ!
好きキャラの方へ惹かれてしまう気持ちは物凄く分かりますが、是非一度機会があれば見てあげてください!

そして最後に、何の知識も入れないでもう一度プレイしたいという気持ち、私もよく分かります。
サクラではないのですが、私の大好きなゲームがありまして……それを全くまっさらの状態で一度
プレイし直してみたい。
特に亡くなってしまうキャラが居ると、ここで死ぬんだ……! と思って身構えてしまってのめり込めないので、
敢えて全て分からない状態でプレイしたいです。
しかしサクラの方は……ゲームを楽しむ分にはいいのですが私の場合ショウを先に観てしまっているので、
変な妄想が……所々に現れて大変です。
2なんて話全然知らないんですが、既にマリアさんは夏合宿(? 熱海に行くらしいんですが)でかえでさんと
離れるのが辛すぎて、夜の宿でかえでさんを召還してしまうという妄想補完をする気満々です(笑)
召還の方法は、ええ、中の人繋がりで……床に魔方陣を書いて頂きたいと思います。
あ~、かえでさんの登場が楽しみで仕方が無い!
(すみません、変な妄想話ばっかりしてしまって……)

それでは、メッセージありがとうございました! またいつでもお越しくださいませね~!



それでは、以下からバレンタイン話になります。お読みになる方はどうぞ先へお進み下さいませ~!

【本日の戯言39】
先程のメールの話ですが、あれ縦読みで「かえでさんかえせ!」ってマリアに送ったらどうなるんでしょうか?
少しくらいおすそ分けして頂けますかねぇ?
その前に公式からイタイ子の烙印を押されてしまいそうですが(苦笑)

ちなみに、さっきグリを発見致しました。いやぁ、硬いなぁ! ホント1初期のマリアのようだ……。
マリアVSロベリアも見たいですが、かえでさん&グリシーヌという受け同士の会話も見たいです、マジで。




+++++++++++++++

『織姫のちょこれいと』


【1.織姫の場合】
 
年が明けて一ヶ月と半月。
一年のうちで一番短い月の、丁度真ん中にあたる日の前日。
その日の大帝国劇場には、朝から多くの贈り物が届けられていた。
事務員であるかすみは由里や椿と共に朝からその対応に追われ、てんやわんやの状態である。
 
そんな慌ただしい人々の往来を、稽古の後のシエスタから目覚めた織姫は、ロビーで普段はモギリの際に
大神が使っている椅子に座りぼぅっと眺めていた。

業者の人間が手にいっぱいの荷物を抱え、かすみ達の指示に従って次々と彼女の前を通り過ぎてゆく。
その様子を見る限り、彼女はその忙しい面々を手伝おうなどとは全く考えていないようである。

「……起きてたんだ」

そんな彼女がもう何度目かの欠伸を噛み殺した時、たまたまその前を通りかかったレニがそう声をかけた。

「う~ん、レニおはようでーす」
「もうそんな時間じゃないと思う」

目を擦りながら間延びした声で言う織姫に、レニは表情を変えずにそう言葉を返す。

確かに彼女の言うとおり既に時間は1日の半分以上をとうに過ぎていたのだが、そんな些細なことを織姫が
気にする筈もない。


そして再びうとうととしはじめた織姫を見てひとつため息を吐いたレニは、彼女をその場所に残したままで
立ち去ろうと一歩足を踏み出した。

その時、彼女は自らの足元に転がって来るものを見つけ足を止める。

それは綺麗ラッピングされた一つの箱であった。
どうやら業者の持っている荷物の中からこぼれ落ちてしまったらしい。


そしてレニがそれを拾おうと屈むよりも一瞬早く、それまで椅子に座ってうつらうつらと舟を漕いでいた筈の
織姫の手がその箱を奪い取る。
レニが彼女の方を見上げると、織姫は箱の上部に書かれていたのであろう文字を見つめ声を上げた。

「これマリアさん宛てでーす!」

さも驚いた様子の織姫とは対照的に、レニは表情を変えず落ち着いた様子でこう呟く。

「……やっぱり、ね」
「何でですかー?」

レニの言葉に織姫はそう言って小首を傾げる。
すると彼女の持っている箱の落とし主を探しているのか、辺りを一瞥しながらレニがその問いに答えた。

「だって、明日はバレンタインだから。きっと今日のこの荷物の半分以上はマリア宛てのプレゼントだと思うよ」

そう言って口を閉じると、落とし主が気づかずに去ってしまったことを確信したのか、彼女は織姫の方を
見上げた。
それとほぼ同時に、視線を向けられた当人がすっとんきょうな声を上げる。

「半分以上!? これすみれさんがまたお金使って何か取り寄せたんじゃないんですか?」

未だ何人かの業者が行き来しているロビーを指差しながら、織姫はあり得ないといった体で再びレニに問う。
その様子を見るに、彼女はこの騒ぎの全てを普段どこかしこから高級品を取り寄せることの多いすみれの
せいだと本気で思っていたらしい。

「いくらすみれでも、こんなに頼めないよ。半分はマリアで、次はカンナが多いかな? 多分少しくらいは
 僕ら宛てのものもあると思うけど……」
「私の分もあるですかー!」

相手に常識的な見解を述べた後のレニの予測に、織姫は目を耀かせた。
いくら女優であるとはいえ、彼女もまだ十代の少女。プレゼントという言葉に目がないのは当たり前の
ことである。

「多分、あっても量は少ないと思うけど。バレンタインだし……」

だがレニは織姫の反応を知ってか知らずか冷静にそう分析し、そのままを相手に告げた。
その言葉に、沸き立った彼女は端から見ても解るように盛大に肩を落とす。

「何でバレンタインだとマリアさんやカンナさんがいっぱいプレゼントを貰えて、私が少しだけなんですか?」

織姫はそうブツブツと呟きながら半ば恨めしげな視線で手にある箱を見ると、更に彼女は言葉を続けた。


「というか、何でバレンタインにこんなにいっぱいプレゼントが来るですか! マリアさんにそんなに沢山恋人が
 居るんですかー?」


両手で持った箱を盛大に振りながら、織姫は子供が癇癪を起こしたかのように叫ぶ。
その声はロビー内に響き渡り業者達が一斉に織姫を見たため、レニはすぐに上げられている彼女の腕の
片方をとり、柱の影へと引きずっていった。

「……そっか、去年織姫はイタリアに帰ってたから知らないんだね。」
「どういうことですか?」

落ち着いた表情のままでレニが呟くと、織姫はきょとんとした表情で相手を見下ろし問いかける。

確かに彼女は去年のこの時期、公演も無かったため母親の元へ帰省していた。

しかし、彼女の国にもバレンタインはある。だからこそ、彼女はレニにそう尋ねたのである。

すると相手は落ち着いた口調で、彼女の問いにこう答えた。

「日本ではね、恋人同士だけじゃなくて女の人が大好きな人にチョコを贈る日なんだ。
 だから毎年バレンタインになると、ファンの人がマリアにチョコを贈って来るんだよ。ホントは男の人に
 贈るんだけど……マリアは男役が多いから女の人ファンが多いでしょう? 
 だから、娘役が多い織姫より沢山贈られてくるんだよ」

元々日本だけのこの風習を、イタリアで育った織姫が知るはずもない。
その為この風習が珍しいのか、彼女はレニの説明をこくこくと頷きながら興味津々といった様子で
耳を傾けていた。

「へ~、つまりみんなマリアさんのことが大好きなんですねー!」

レニによる日本式バレンタインの解説を聞き終えた織姫は、目から鱗が落ちたかのような表情で手にある箱を
暫くの間じっと見つめる。

すると突然、彼女は何事かを思いついたかのように目を見開き、ポンっと手の平で箱を持つ手の甲を
軽く叩いた。
レニは表情を変えずにその様子を見ていたが、心なしかその眉間には浅い皺が刻まれる。

「じゃあ私もマリアさん大好きだからチョコあげるでーす!」
「……」

嬉しそうに顔をキラキラと輝かせそう叫んだ織姫はレニの方に視線を向けるが、見つめられた本人は
何も言わない。
しかしどこかしら、呆れたような表情が浮かんでいるのは確かである。

「あっ! でも大好きな人にあげるなら……皆さんにもあげなきゃいけませんね」
「……」

そんなレニの表情など全く気にも留めずに、織姫は頬に人差し指を当てながらブツブツと一人で呟き始めた。

「さっくらさんはいつも美味しいご飯作ってくれますし、紅蘭はいつも爆発ばっかりですけど光武をちゃんと
 整備してくれるでーす!」

まずは年の近い仲間の名前を挙げながら、その度に人数を数えるのと同じ要領で自らの指を折り曲げていく。

「アイリスは子供なのに毎日稽古頑張ってますし、カンナさんは食べるだけじゃなくて戦闘の時一番に
 飛び出して敵をやっつけてくれまーす! それとすみれさんは高笑いが煩いですけど、舞台ではやっぱり
 トップスタアでーす!」

いつも遊んでいる少女に、頼りになる年上の仲間。そして、何だかんだと文句をつけながらも一番の目標と
している人物……。

「中尉さんはちょっとエッチですけど、何だかんだで大変そうですし、かえでさんはいつもお姉さんみたいに
 優しくしてくれるでーす!」

最後にメンバー唯一の男性と、もう長い付き合いになる母親のような女性の名を挙げると、織姫の指は
うち三本が立った状態で動きを止めた。

中指に薬指、そして小指。
どうやら彼女がバレンタインに贈り物をするほど大好きな人は、丁度8人のようである。

今まで挙げられた名前よりもひとりだけ多いのは、織姫が贈り物をしようと思い立つきっかけとなった、
彼女が最もなついている仲間が数の内に入っているからだろう。

「……」

レニは無言のままで、ウキウキとした様子の相手を見つめているだけであった。

「じゃあ、皆さんにプレゼントしなきゃいけませんね、レニ。チョコの作り方教えてください」

するとそんなレニに向かい、織姫はさも当たり前であるかのように問いかける。
これだけ多くの人間を挙げながらも、彼女は肝心な贈り物の作り方を知らなかった。

「知らないよ、僕」

彼女の言葉を聞いた途端、軽くため息のように息を吐いたレニはすぐにそう切り返す。
どうやら、その質問は彼女にとって想定の範囲内のことであるらしい。


しかしそんな博識な彼女であっても、料理に於いては専門外である。

「う~ん……じゃあ早速チョコ一緒に作ってくれる人を探すでーす!」

相手の返答に暫く腕をくんで唸った織姫であったが、すぐに片方の拳を上にあげてそう宣言した。

「探す……って、織姫?」

眉尻を互い違いに上げ下げして疑問の表情を浮かべたレニの手首を、織姫はその拳で掴む。

「さあ、つべこべ言わずに行きますよ~レニ!」

つべこべどころか一言も発する機会を与えられずに、レニは半ば引きずられるようにして織姫に
連行されていった。

「……」

ずるずると引きずられながら、レニは言葉の代わりにやれやれとでも言いたげな深いため息を吐く。

「あ、でもすみれさんは駄目ですね! 下手したら人が死んじゃいますから。」

一方の織姫は、もし本人の耳に入れば激怒するであろう心底失礼なことを呟きながら、意気揚々と劇場の
廊下を進んで行った。
  
 
 
【2.さくらの場合】
 
その時、真宮寺さくらはじっと両手の中にある銀色の物体を見つめていた。
それはそこの抜けた銀色の器のような形で、中には既にしっかりと固まったチョコレイトが入れられている。

その形状は、デフォルメされた絵などに描かれる人の心臓のような形。

所謂『ハート型』である。

彼女は中に入ったチョコを割らないよう、慎重に型からそれを取り出そうとしていた。

昨日の夜中にこっそりと起き出し、仲間にも、そして勿論それを渡す本人にも内緒で彼女はこれを
作っていたのである。

幸い気泡が入ってしまうこともなく綺麗な形に完成したそれを型から外せば、あとはホワイトチョコを使って
文字を入れるのみ。

そうすれば、彼女が以前から用意していた飾り付きの箱にそれを入れて、丁寧に包装するだけ……。

チョコの入った型を見つめながら、さくらがそんな想像をしていた時、彼女が居る厨房に唐突に声が響いた。

「見つけたでーす!」
「うわぁっ!」

さくらにとってあまりにも突然だったその声に、思わず彼女は手にしていた型から手を滑らせそれを
落としそうになる。

しかし実際には、声の主は厨房の外でも騒ぎながらここに突入してきたのであるが。

とにかく手から滑り落ちそうになる型を何とか持ち直したところで、さくらはやっと声の主の方へと視線を移した。

「お、織姫さん……ど、どうされたんですか?」

彼女の目に映ったのは、嬉しそうに目を輝かせた織姫。
そして、あまり気乗りしないといった面持ちで隣に佇むレニであった。


織姫はさくらの問いに答えることなく、ずかずかと厨房に足を踏み入れる。そしてふと唐突に、彼女の
手にしていた型を指して叫んだ。

「あ、さっくらさんもバレンタインするですかー?」
「えっ、あ、いえっ、これはっ、その……。」

皆に黙ってチョコレイトを作っていたさくらは、慌ててそれを隠すように自らの体の後ろにやる。


誰に贈るのかと聞かれるのが嫌だった為に彼女は隠れてチョコを作っていた。
しかしその現場が見つかってしまった以上、どんな言い訳をしても無駄な抵抗と言わざるを得ない。

だが、詰問に備えた言い訳を考えていたさくらに向かって織姫の口から出た言葉は、彼女にとって
意外なものであった。

「だったら丁度いいでーす。ね、レニ。」

ニコニコしながらそう言って織姫はレニの方を見るが、当人は無言のままである。

「えっ……?」

予想外の相手の言葉にさくらが思わず困惑したような声を漏らすと、織姫は再びビシッと人差し指を
突き立てた。

そして、今度はそれをさくらの方へと向ける。

それにつられるようにしてさくらが指で自らの方を指したのとほぼ同時に、織姫は再び厨房に響き渡るような
声で高らかに相手にこう言い放った。

「さっくらさん、私にチョコの作り方教えるでーす!」

高い声がエコーのように響いた室内で、レニがまたため息を吐く。

「えっ、私がですか?」
「そうでーす。他に誰がいるですか?」

思いもよらなかった言葉に目を丸くしたさくらに向かってそう言うと、織姫は椅子に掛けてあった誰のものとも
知らないエプロンを身につけはじめる。

「は、はあ……。」

その姿をさくらは呆然と、レニは冷めた目で追いかける。

機嫌よく鼻歌を歌いながら織姫は後ろの紐を結ぶと、にっこりと微笑んで拳を上げた。

「じゃあ早速作るでーす!」
「え……あっ、はいっ!」
「……」

気合い充分な織姫の勢いに押されるようにして、返事をするさくら。
そして相変わらず、呆れたような表情のレニ。

こうして三者三様の表情のまま、織姫のチョコレイト作りは始まったのである。
 
 
+++++++++++++++

 
それから、数時間後。

「できたでーす!」

顔やエプロンに茶色い染みを作りながら織姫は高らかにそう宣言すると、額の汗を拭くようなしぐさを見せた。

その表情は、ひとつのことをやり遂げた達成感に満ち溢れている。

「ふぅ……やっとできた……」

一方彼女にチョコレイト作りを教えていたさくらはといえば、疲れ果てた表情を浮かべてそう呟くと、
安心したかのようにほっと胸を撫で下ろした。


彼女がそんな様子なのも無理はない。

全くチョコレイトの作り方を知らなかった織姫は、そのノウハウを少しでもかじったことがある者から見れば
あり得ないようなことをいくつもしでかしたのである。


さくらがチョコを刻もうとすれば、面倒だと言ってそのまま火にかけてしまいフライパンを焦がした。


湯せんにかけようとすれば、なかなか溶けないことを焦れったく感じたのかお湯をそのままチョコの中に入れて
薄くしてしまう。

そうしてやっと正攻法でチョコレイトを溶かしたかと思えば、型の中に目一杯の量を入れた為に
こぼしてしまったりもした。

そんな紆余曲折の末に出来たのが、今織姫の目の前にある8つのチョコレイトなのである。
掛かった時間はといえば、さくら一人の時のざっと三倍といったところだろうか。

「お疲れさま、さくら」

大喜びの織姫の隣で息を吐くさくらに、レニがそう労いの言葉をかける。

二人の作業をほぼ傍観していた形の彼女であったが、善かれと思ってはさくらの目を盗んで勝手な事を
しようとする織姫を止めていたのは、他でもないレニである。
もし彼女が居なければ、更に時間が掛かっていたのは確実だろう。

「レニ、ありが……」
「じゃあ後はこれを綺麗に包めばいいですね!」

そんな陰の功労者に向かいさくらが礼を言おうとした時、その言葉を遮って織姫が元気よく言う。

その手には、出来上がったらチョコレイトひとつ。

「えっと……」
「織姫、これ以上さくらに迷惑かけちゃ駄目だよ」

未だ目を耀かせている織姫の様子に言いよどんださくらを見、レニが言葉を挟む。

「え~!」

しかしあと一歩で完成というところまでこぎつけた織姫は、不満そうに口の端をへの字に曲げた。


自分の贈り物の準備も充分にできていないため、そちらに集中したいのは山々であったものの、
元々お人好しのさくらが織姫の申し出を断れる筈もない。

「い、いいのよレニ」

そんな彼女がつい、そう言葉を漏らすと、織姫の表情がコロリと変わり得意気なものとなる。

「ほら、さっくらさんもそう言ってるでーす。じゃあお言葉に甘えますね! ありがとうでーす」
「……」
「……」

嬉しそうに笑う織姫を見ながらさくらは無言で引きつった笑みを浮かべ、レニはまた大きなため息を漏らす。

「じゃあさっくらさんには、出来上がったらすぐにあげますねー。ちょっと早いですけど、一番に
 あげるで~す!」

そんな二人の様子など全く気に留める様子も無く、織姫は調理台の上に並んだチョコレイトを眺めながら
にっこりと微笑んでいた。

彼女の脳裏には、自らの贈り物によって嬉しそうな笑みを浮かべる仲間一人ひとりの姿が浮かぶ。

彼らの顔には、今の織姫と同じ表情が浮かんでいた。


+++++++++++++++
ばれんたいん前日のお話。果たして姫は無事にチョコを配ることが出来るのか……!
というか、そもそも太正時代にそんなモノや行事は存在するのか……!
そして個人的に日本料理専門だと思っているさくらは、チョコ作ることができるのか……!

まあ、何より私が最後まで書ききれるかどうかっていうのが一番の不安要素ですがね。

そんな様々な突っ込みを抱きつつ、明日の当日をお待ちくださいませ。
(うちのさくらさんはかなりの苦労性だと思う。うちのマリアに対してのカンナ並に・笑)
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ご案内
こちらは、わとことくらゆきの二人が運営する「サクラ大戦」の帝都ごった煮二次創作サイトです。

全体的に女性キャラ同士が非常に仲の良い描写が含まれること、更に製作物によってはキャラが崩壊していることがございますので、観覧の際はご注意下さるようお願い致します。

その上最近はCPが節操無し状態になっておりますので、より一層ご注意願います。

初めていらっしゃった方は、必ず「あばうと」のページをご覧下さい。

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