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ブログって素晴らしいですね。
だって、日付が昨日のままですもんね……!

……ごめんレニ、見事に間に合わなかったよ!
卒論にイベント……こんなに怒涛の日々になるなんて予想もしてなかったよ!
(イベントレポに6時間掛かるなんて、誰が予測したか……!)


というわけで、レニ誕です。
モトホシなのかかえレニなのか何なのか、私にも分からなくなりました(マテ)

ああっ、今テレビで『狙い撃ち』が!
あのイベントのせいでこの曲がマトモに聞けない気がします(笑)

それでは、この後クリスマスが残っておりますので……また後ほど。
拍手返信等はその時にまとめてお返しします、ごめんなさい。

私の中ではクリスマスを書ききるまでがクリスマスです……さて、頑張るぞと。

それでは、レニ誕文章を読んで頂ける方は「つづきを読む」からどうぞ。

(うちのモトホシの割には百合くさいです。苦手な方はご注意くださいませ)




+++++++++++++++


12月24日、それは僕の誕生日。

同じ日に劇場でクリスマス公演が行われる為か、僕自身を含めてこの日を忘れる人は居ない。

ほんの少し前までは『年齢』という記録を更新するだけの日だったのだけれど、今は仲間達やスタッフの皆、
そしてファンの人達からも祝福される、少しだけ照れくさい日になっていた。


大盛況のまま公演を終えて、その後すぐに皆が僕の為にパーティーを開いてくれて……。
僕自身が大騒ぎをするのは苦手だけれど、賑やかな中に居るのはとても楽しいから、
どんなプレゼントよりも皆が開いてくれるパーティーが大好きだった。
 
でも、そんな楽しいパーティーの終わった後の静けさだけは、少し苦手。
煩いくらいの賑やかさがあっという間に無くなって、また一人になってしまったのかと錯覚してしまうから。



今は、そんな少しだけ切ないパーティーの後。

騒ぎすぎて眠ってしまっていたり、酔いつぶれてしまっていたりするメンバーが多い中で、
ひとりいつもと変わらないマリアに言われ、僕はアイリスと二人で先にお風呂に入った。

そのまま部屋に戻ってもいいと言われていたけれど、僕は疲れて眠たそうなアイリスを部屋に送り届けてから、
再び食堂へと戻っていた。


ぐちゃぐちゃになった部屋のことも気になっていたし、何よりあと少しだけ、祭の余韻に浸っていたかったから。

取っ手に手をかけて、ドキドキしながらゆっくりと扉を開ける。

そんな僕を迎えたのは、普段と同じ食堂だった。

天井や壁にあった筈の飾りは外され、飲み物の瓶やお皿はもう片付けられてしまっている。
あんなに賑やかだったパーティーの余韻は、もうどこにも残っていない。

「……」


ある程度予想はしていたけれど、初めて見る祭の後の様子に、僕は暫く唖然としていた。

そんな中で僕の内側から沸いてくるのは、言いようも無い孤独感。
そして賑やかな場所から引き離されたような淋しさだった。
 
「う~ん……」
 
誰も居ないかのような静かな部屋に、突然唸るような声が響く。
僕ははっとして我に返ると、声のするほうへと視線を移した。

広々としたテーブルの上に突っ伏している人影がひとつ。

肩の辺りで切り揃えられた茶色い髪と、見覚えのある白い洋服の女性。
そんな人は、この劇場に一人しかいない。


「かえでさん、こんなところで寝ちゃ風邪ひくよ。」

すぐに人影に駆け寄った僕は、肩を揺らしてその名前を呼んだ。
パーティーの最中に大好きなお酒を沢山飲んでいたから、それが終わる頃にはだいぶ酔っ払っていたことを
知っていたけれど、僕がお風呂に入っている間に眠ってしまったらしい。


建物の中とはいえあまり暖かいとはいえない食堂でも、お酒を沢山飲んでいた為か、
かえでさんの身体はまだ暖かかった。


その温もりが、手の平を媒介して僕にも伝わってくる。

「う……ん……。」


名前を呼びながら何回か身体を揺らすと、かえでさんは気だるそうな様子でゆっくりと身体を起こした。

「あら、レニ……。」


ぼうっとした表情でそう呟いて、かえでさんは傍らに立つ僕を見る。
そして僕がまたさっきと同じ言葉を掛けようとした時、かえでさんはにっこりと笑みを浮かべて僕を抱き締めた。

「かぁわいいわねぇ~もう……!」


着ているパジャマごともみくちゃにされた僕の鼻に、かえでさんの匂いに混じって
少しだけお酒の匂いが広がる。


唐突なその行動に驚いて声が出せずにいると、僕の頬に何か柔らかいものが押し付けられたのを感じた。

「うわっ!」


そんないきなりの口付けに僕はまた驚いて頬に手を当て、かえでさんの方を見上げる。
するとかえでさんは僕を抱き締めたまま、またにっこりと楽しそうな笑みを浮かべた。

「ふふっ、真っ赤になっちゃって……可愛い。食べちゃいたい。」


そう言いながら、かえでさんは僕に頬擦りをする。その髪が頬や首筋に当たって、少しだけくすぐったい。

そんな風にして暫くの間そんな風にかえでさんのされるがままの状態になっていた僕の耳に、
突然僕達どちらのものではない声が聞こえてきた。

「かえでさん! 酔っ払った勢いで絡まないでください!」

厨房の方からこちらに向かって来るのは、まだエプロンを着けたままのマリアだった。
マリアはすぐに僕らの方に駆け寄ると、僕に抱きついたままのかえでさんを引き剥がす。

「あらぁ、マリア……ヤキモチ?」
「違います!」

不満そうに頬を膨らませて言うかえでさんにマリアはきっぱりとそう言い放つと、心配そうな表情で
僕を見下ろした。

「大丈夫?」


うとうととしながら、かえでさんは今度は僕に話しかけるマリアの腰の辺りに絡み付く。
しかしマリアはそれに慣れているのか気にすることもなくかえでさんの好きにさせたまま、
その頭に軽く手を置いた。

「問題無い。慣れてるから。」


マリアに心配をかけたらしい僕も、実はかえでさんに絡まれるのには慣れている。
さっきは目覚めてすぐだったから、少しだけ驚いてしまっただけ。
酔っ払ったかえでさんに遭遇するのは、一緒に生活をしていればよくあることなのだから。

……でも、キスまでされたことは、あんまり無いんだけど。

「そ、そう……慣れているの。」
「マリア、何か手伝えること無い?」

何故か少しだけ顔をひきつらせるマリアに向かって、僕はそう問いかけた。

まだマリアがエプロンを着けているということは、後片付けが全部終わっていないということ。
人の気配もしないことを考えると、マリアと酔い潰れたかえでさん以外にこの部屋には居ないのだろう。


それならば、少しくらいマリアの負担を軽くしてあげたい。

「ええ、ありがとう。でもさくら達も手伝ってくれたから、もう殆ど片付いたわ。」


にっこりと微笑んだマリアはそう僕に向かって言うと、その腰の辺りに抱きついたままで再び眠り始めた
かえでさんの頭を優しく撫でる。

「あとは、この人を部屋に運ぶだけ。」


そう呟いたマリアはかえでさんの手を外して屈むと、その身体を軽々と持ち上げた。
舞台の上でも相手役のすみれやさくらを抱き上げることがあるから、同じくらいの体型のかえでさんを
抱き上げるのは、マリアにとって造作もないことなのだろう。

「あなたは早く寝なさい。もう遅いわ。」


座る人の居なくなった椅子を戻すと、マリアが振り返り様に僕に向かってそう言った。

「うん。」


否定する理由も無かった為に僕は素直に頷いて、踵を返し歩き出したマリアの後に付いて
自分の部屋へと向かう。


僕達の居なくなった食堂は灯かりが消され、真っ黒な闇に包まれた。

一度だけ振り返ってその様子を見た僕の中に、忘れかけていた淋しさが再び沸き上がってくる。
それを何とか押し留めて、僕はマリアの後を追って階段を掛け上がった。

……まるで、その闇から逃げ出すかのように。
 
 
+++++++++++++++

 
「レニー! おっそいでーす!」

マリアと別れて自分の部屋に入ると、真っ暗な筈の部屋は明かりで煌々と照らされ、
僕の眠る筈のベッドの上に織姫が座っていた。

「織姫……ここ、僕の部屋。」
「そんな事はとっくの昔から知ってまーす!」

もうとうの昔に眠ったと思っていた織姫が居たことに驚きながら呟くと、
彼女は普段と同じようなテンションで叫ぶ。

「どうして此処に居るの?」


織姫の大きな声が他の部屋まで響かないように、僕はドアを閉めながら率直にそう問いかけた。

そして僕は、織姫が普段と変わらない様子で言ったその問いへの答えに呆然とすることになる。
 

「それはレニのお誕生日だからでーす。皆でぱぁ~っと盛り上がった後一人で寝るのは淋しいですからね~。
 私が一緒に寝てあげます!」

……その内容が、全くの図星だったから。

「いいよ、別に。」


図星を刺された気恥ずかしさから、僕は織姫から目を反らせて呟く。

しかし織姫がそれくらいで諦める筈もなく、自分から布団に入ってここに寝ろとばかりにその傍らを叩いた。

「駄目でーす。さ、早く電気消してこっちに来るがいいでーす!」
「……。」

ふっと息を吐いて、僕は明かりを消す。

月明かりに照らされた薄暗い部屋の中で、僕は織姫に言われた通りにベッドに入った。
一人の時にはあれだけ冷たかった筈のベッドは、今日はとても暖かい。

そして不思議なことに、先程まで僕にとりついていた孤独感がすっかり消えていた。
 
そういえば、さっきかえでさんに抱き締められた時も、一瞬だけ孤独を忘れられた。

人の温もりは何故、僕の心をこんなにも溶かしてくれるのだろう……。
 
「織姫。」

うっすらと目を開けて、僕は隣に眠る人の名を呼ぶ。

「何ですかー?」


すると、もう眠りかけているかのような間延びした声が聞こえてきた。
僕はそっと身体を動かし、その声の方へと向き直る。

「……ありがとう。」


そう小さく囁いて、僕はその頬にひとつ、感謝の口づけを落とした。


+++++++++++++++
モトホシはこれくらいベタベタしていればいいと思います。
ほら、外国ではキスも挨拶じゃないですか!(凄い言い訳)

もしかえでさんが酔うとキス魔になるとしたら、マリアさんは気が気じゃないですね。
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