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すみれ様、お誕生日おめでとうございます。
しかしそんな日に私、風邪をひいてしまいました。

その上明日発表とか恐ろしいことになっておりますはい。

更にすみれちゃん関係のCPで一番メジャーなのがまだ出来上がっていないっていうね!
もう長刀で切り刻まれればいいと思います。

という訳で、コメントと各種返信は土曜日辺りまでしばしお待ちを……。


取り敢えず出来ているものだけ上げておきます。

ではまず「マリすみ」を……。
見事なガチ百合ですので、苦手な方はご注意下さいませ。




+++++++++++++++


いつもとは違う自分の記念日は、いつもとは違う特別な衣を着て。
いつもとは違う色で、自分を飾ってみたくなる。


普段の紫色の振袖とは違う洋風のドレスを着て、すみれは自室の鏡台の前に立つ。

舞台の本番さながらに最も美しいとされる形で真っ直ぐに立ったすみれは、鏡に映った自身の姿を見ながら、
衣服の細かいズレを整え始めた。

やがてそれが自分の思うとおりになったのか彼女は手の動きを止めると、もう一度だけ自分の姿を
まじまじと見つめる。

そうしてやっと、鏡台の前の椅子に腰を下ろした。

「気は済んだ?随分鏡とにらめっこをしていたみたいだけど。」


彼女の後ろで部屋の壁に寄りかかってずっとその様子を見ていたマリアが、そうぽつりと呟く。

「ええ。みっともないような姿を、皆さんにお見せする訳にはまいりませんから。」

彼女の方に振り返ること無く、また鏡越しに視線を向けることも無く、すみれは真っ直ぐに自らを
見つめたままでそう言葉を返した。

「そう。……あなたらしいわね。」


マリアは口元だけで微笑むと、すみれのすぐ後ろまで近づき、その肩に手を添える。

そしてその指でゆっくりとすみれの身体のラインをなぞりながら、満足げにこう呟いた。

「でも、よく似合っているわ。私の見立て、正しかったみたいね。」

すみれの腕の辺りまで指を滑らせた辺りで、マリアは身体をなぞる手をを止める。

そして鏡台の前に立つと、鏡の脇にある化粧品に手をかけた。

その手に柔らかい筆を持ち、筆先で明るい肌の色の粉を撫でる。

「一体どういうつもりなんですの? いきなり、皆さんの前でこのドレスを着ろだなんて。
 それに、これをどう皆さんに申し上げれば……。」

マリアに筆で顔を撫でられながら、すみれはそう彼女に問いかけた。


彼女の言うように、元々彼女の着ているドレスはマリアに誕生日祝いとして贈られたもの。
夕方行われる誕生日パーティーよりも一足早くそれを相手に渡した彼女は、そのドレスを夕方の
それの間に着て欲しいと申し出たのである。

その真意の分からないまま、だが異を唱える理由も無く、すみれはマリアに言われるがままに
それを了承した。

しかしいざ服を着替えた後落ち着いて考えてみると、何故マリアが急にそのようなことを言い出したのか、
すみれ自身が不思議で仕方がなかったのである。

「ファンの方に頂いたとでも言えばいいわ。あなたの性格なら、誰も疑いはしないわよ。」

するとマリアは意地の悪い笑みを浮かべながら、すみれの二つ目の問いにのみこう返してきた。

「……どういう意味ですの?」


その裏に秘められた悪意に気付いたすみれは、鏡越しにマリアを睨み付ける。

二人の視線が、ここで始めてかち合った。

「そのままの意味よ、分からない?」


マリアがすみれの視線に怯むこと無くこう続けると、すみれの眉間に刻まれた皺が更に深さを増す。

「ほら、眉間に皺を寄せないで。ズレちゃうじゃない。」


すみれが再び言葉を返そうとした時、それよりも先に彼女の眉を整えようとしていたマリアが言う。
そうして出鼻を挫かれた形となったすみれは、すぐ目の前にあるマリアの顔から視線を反らせこう吐き捨てた。

「それなら、あまり人を怒らせないでくださいな。」


その言葉にマリアはふっと息を漏らすと、再びにっこりと意地の悪い笑みを浮かべる。

「だって面白いんだもの、あなたをからかうこと。楽しくて、止められないわ。」
「……っ相変わらず、あなたの性格は最低ですわね。」

マリアの言葉にすみれは再び彼女の目を睨み付けると、歯を食い縛りながら憎々しげにそう言った。
その頬は未だになにも施されては居ないのに、既に頬紅を付けすぎたように真っ赤に染まっている。

「そう?誉め言葉として受け取っておくわ。」
「……」

クスクスと笑うマリアを見、経験上これ以上言い返すのは無駄だと悟ったすみれは、
心の中では憮然としたまま口を噤む。

やっと静かになった相手の整った眉に、マリアはほんの少しだけ同じ色を乗せた。

「で、私の最初の質問に答えてはくださいませんの?」


暫くの沈黙の後、マリアがすみれの瞼に色を乗せ終えた頃、先程の不満を大分押さえ込んだ彼女は
そう相手に問いかける。

「最初? ……ああ、どうしてあなたの誕生日にこれをプレゼントして、
 パーティーにこれを着せるのかってことね。」


頬紅を手に取ったマリアは唐突なその問いかけに一瞬首を傾げたものの、
すぐに先程の問いかけを思い出したのかふっと口元に笑みを浮かべた。

「ひとつは、純粋にあなたに似合うと思ったからよ。その綺麗な顔に、この服はよく似合うわ。」


マリアはそう囁きながら、すみれの形のよい顎に手を掛ける。
そんな彼女の姿はさながら夢物語に登場する王子そのもので、劇場を訪れる女性ファンの
ほぼ全てが見とれる姿であった。
しかし舞台の上で、更にはそうで無い時であっても飽きるほどに相手の顔を見続けているすみれにとって、
それは息を吸うほどに日常的なこと。


更に先程のやり取りの後とあっては、相手の整った顔に浮かぶ笑みなどすみれにとって
嫌味以外の何物でもない。

「……で、もうひとつは?そんな風におっしゃるのなら、他にも理由はおありなのでしょう?」

顎に掛けられた手を払った彼女は、表情を変えないままそう言って相手を真っ直ぐに見つめた。
手を振り払われた当人は、特にそれを気に止めることなく鏡台の上のルージュを手に取る。
そして小筆にそれを載せると、すみれの薄い唇に鮮やかなピンク色を乗せはじめた。

「もう一つ? そんなの、簡単なことよ。」

ゆっくりと筆を動かしながら、マリアはゆっくりと言葉を紡ぐ。
勿体ぶったようなその言い方はすみれの鼻についたが、口紅を塗られている今の状況では
何も言い返すことができず、彼女は黙ったままで相手の言葉を待った。

「誰よりも綺麗なあなたが今は全てを私に委ねて、私の色で染められている。」

マリアの持つ筆先が、すみれの下唇を柔らかく撫でてゆく。
職業柄自分以外の人間に口紅を塗られることには馴れていたものの、それでも今日の筆の感触は、
他とは全く異質なもののようにすみれには感じられた。

「そうやって、あなたが他の誰でもない私のモノだということを、皆に見せてあげたいじゃない?」


そう言って微笑を湛えたマリアは、すみれの唇に丁寧に最後の一筆を施す。 
そして筆が離れた瞬間、すみれの唇はその本来の機能を回復し言葉を紡ぎ始めた。

余りに身勝手な相手の言葉に、彼女が黙っていられる筈が無く、当然その眉間には再び皺が刻まれ、
目は先程までと同じようにじっとマリアを睨みつけている。

「……そんなの、単なる自己満足ですわ。私は私だけのもの。誰が貴女のものになんて。」
「別にいいのよ、自己満足でも。あなたはもう、私のモノなんだから。」
 
感情を爆発させ半ば怒鳴りつけるように叫ぶすみれの言葉を遮り、マリアは先程と同じような速さで
ゆっくりと呟く。
そんな彼女の態度には、どこにも迷いは見当たらない。
どうやら、彼女の言葉は彼女にとって確信以外の何物でも無いようである。

「……もう、勝手にしてくださいな。」

そんな相手の様子を見たすみれは、怒る気力も失せたとでもいうかのように溜息を吐くと、
マリアから視線を外して再び真っ直ぐに鏡を見つめた。

「ええ、言われなくても。」
彼女のさらりとした髪を櫛で梳きながら、マリアはそう言ってにっこりと微笑む。

鏡越しにそれを見たすみれには、その笑みはやはり嫌味としか思えなかった。
 

+++++++++++++++

 
「珍しく、手を出しませんでしたわね。」

正にマリアの言葉通り彼女の色に染められたすみれは、皆の待つ食堂へと移動する直前、
憮然とした顔でそう彼女に呟く。

「いつもなら、私が何と申しましょうとどこかに痕をお付けになるじゃありませんか。」

きょとんとするマリアに更に言葉を続けたすみれであったが、自分の言葉の内容に気付くと、
すぐに頬を染めて相手から視線を外した。
そんなすみれを見たマリアは、再び嫌味にしか思えない笑みを浮かべる。

「ええ、あなたの言うとおりよ。口紅を塗っている時なんて、すぐにでも奪ってしまいたかったわ。」
「……。」

顔を赤くしたままのすみれのすぐ目の前にまで顔を近づけたマリアは、
動かなくなってしまったその唇にふっと息を吹きかける。

「でも、楽しみは後にとっておくものでしょう?」

笑みを湛えたまま、マリアはわざと吐息がかかるように相手に向かって囁いた。

そしてその肩に手を置くと、今度はその唇を彼女の耳元に近づける。

次の瞬間に紡がれたマリアの言葉は、すみれにとって悪魔の囁きそのものであった。


「美しく整えられた今のあなたを、見る影も無く乱れさせること……今から楽しみだわ。」


+++++++++++++++
すみれちゃん誕生日、マリすみバージョン。
この場合のマリアさんは、やっぱりS度5割り増しになりますね(当社比)
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