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皆様お久しぶりでございます。
卒論様にヒイヒイ言いながらも、なんとか目処がついたくらゆきでございます。

あと1章、あと1章なんだ…でも今日は運転免許の更新に行かなければいけないので進まないのですが。

さて、休止中といいながらいきなり現れたのは本日が私の誕生日なのです。
相方様、日付が変わった1時間くらい後にお祝いありがとうございます。
こんな大変な時期に誕生日でごめんなさい(土下座)

取り敢えず、2人は大人なので雰囲気がヤバくても大丈夫ですよ。
ええもういっそ全裸でも。

……人間、追い詰められると頭が朝からおかしくなるものです。


さて、浮上したついでに最近の近況報告をば。
まずはこの図を見てください。

864eee57.jpg


これが最近のここの管理人の全てです。
前の記事で相方様が何故太字で『日光に行きたい!』と言っていたか、もうお分かりですね?

でもまあ、ここはひとつ個別に説明致しましょう。

まずは、一番下の方にある赤い表紙の冊子。
(商業誌の表紙を載せるのもどうかと思ったので他で隠しております)

ついに手に入れました、『テイゲキグラフサクラ』秋号&冬号!

もう数ヶ月前の話になるのですが、カウントダウンの時だったかに話題に挙がっていたので、
何のことだと思い調べてみたら雑誌だということが判明。
しかも、え、何これ……何でかえすみ一緒に写ってるの!

公式どころかマイナーにも程があるというくらいのCPなので、少しでも絡みがあるなら是非見てみたい!
でもこの雑誌で特集になっているということはメインで取り扱いがあると予測!

絶対欲しい……。

しかし2000年発売の雑誌なのでとっくの昔に廃刊。
頼みの綱の某ネット通販サイトの検索にも引っかからず……。

まあ手に入らないわなぁ、とその時は諦めたのです。

しかし、11月下旬のある日。
かえすみにはマリかえ同様妄想を暴走させつつも、雑誌の話は忘れかけていた頃。
当サイトでもリンクを貼らせて頂いている某サイト様で、テイゲキグラフのお話が……!
大喜びでメッセージを送らせて頂いたら、詳細な中身のお話まで教えて頂けて……。

こりゃ買うしかないだろ! と思いを新たにし、ネット上の中古書店を再び探し回りました。

そしたらね、あったんですよ。
しかもあったのが、以前探した某大手通販サイト(am○zon)だったんです。

……あの検索機能って完全一致検索なんですかね?
以前『テイゲキグラフ』って入れても出てこなかったんですけど……。どうなってるんですか?

まあそんな愚痴はともかくとして、お値段も思ったより跳ね上がってなかったので早速購入。

そしたらですね、大変です。日光に行きたくなった(笑)

あんまりネタバレしてもいけないと思うので、内容をかいつまんで説明しますと……

・素晴らしき密着率(冬号のマリアとさくらより密着率が高いとは思いませんでした)
・かえでさんがかっこよすぎて困る
(ショウのかえでさんを『色っぽい』とか『可愛い』と思ったことは多々ありますが、カッコイイと思ったのは
 初めてでした)
・ケーキを……そんな! (察して頂ければ幸いです)
・間に入るコメントがツボすぎる(5ページのコメント書いたライターの方、ありがとうございます)

結論:もうきみたちケッコンしちゃえばいいよ(笑)

こんな感じです。
お陰で一週間ほど、私と相方様の中ではかえすみの勢いが凄かったです。
(そして相方様は、未だその渦中におられるようですね)

ああっ、最初の話で随分と長文になってしまいました。
なので残りはまとめていきますね。

左下にある封筒は、来週に迫った(早ッ)トークライブのチケットでございます。
先週無事届きました。
入金が遅かったので昼夜両方とも半分より後ろですが、もうお姿を拝見できれば大満足です。
(……サクコレではサプライズだったアレがデフォルトであるということに、今から緊張しておりますが)

しかしチケットの色は狙っているとしか……!
昼チケットの色が紫で夜チケットが黒だったんですよ。
誰かと誰かを思い出さずにはいられませんよね。

そしてこの素敵なイベントをメインに、私と相方様は暫く帝都に滞在することにしました。
その行程や行く場所の下調べ等は、何度か行ったことのある私が全てしたのですが……

それを相方様に渡す際、冗談で「しおりにしてみたら?」と言ったら彼女は見事に作り上げました。
左側の茶色い冊子がそれです。

本人曰く楽しかったそうですが、よくこんな凝ったものを……。
どうもありがとうございます。

なので当日、この冊子を持ってフラフラしている人間が居たら間違いなく私達です。
一応前々日に服装なんかを書いておきますが、これは私達しか持っていないので……。
もしよろしければ、声を掛けて下さい。

以上長々と書いてしまいました。
本当はもうひとつ話題があったのですが、それは明日のマジな記念日の記事にしようと思います。

ええ、正直あの方の誕生日の前日に生まれた自分万歳。
でも同じ日じゃない辺りが私らしいというか……。

皆様、本当の記念日は明日でございますよ!

そんなこんなの誕生日記事でしたが、相方様同様……一応自家発電をしてみました。
でもってこれだけかえすみかえすみ言いながら、初心に戻ってマリかえです。

割とがっつり百合になりましたので、お気をつけくださいませ。

読んでやろうと思った方は、各種メッセージの後からお進みください。

【私信】

→空様
返信を頂いたのに、大分時間が経ってしまって申し訳ありません。
空様の記事のお陰で、無事秋号を入手できました。本当にありがとうございます。
かえすみは先ほど書いた通りですが、あの雑誌自体が盛りだくさんな内容なので読んでいてとても
楽しかったです。
残りの2冊も是非揃えたいですね。

卒論、やはりそちらも大変なご様子で……。同じ状況の身としてはよく分かります。
お互い、20日のイベントのために頑張りましょう!
会ってお話できることを、私も楽しみにしています。

【拍手返信 (くらゆき)】

→飛竜彩女様
せっかくメッセージを頂いたのに、物凄く返事が遅くなってごめんなさい。
いつもありがとうございます。

未だプレイはしていないのですが、私も何気に新次郎の方が好きです。
いや、何となく純粋なイメージがありまして……。大神君は下心がありそうな(ごめんなさい)

宣言どおり初心に戻ってみました。かえでさんの誕生日の時よりもすんなり書けたと思われます。
出来のほどは……皆様の判断にお任せ致しますが。
多分、いちゃついているのが書きたかったんですね。誰か代わりに書いてくれ……!

サクコレの記事、読ませて頂きました。日高さんも井上さんも可愛いなぁ(笑)
どちらもサクラキャラとは違う作品のキャラクターのイメージが強いのですが(特に後者はおっとりお姉さんの
イメージがw)、一度はお姿を拝見してみたいですね。
しかし巴里をプレイするなら是非グリシーヌを落としたいです(笑)

これから先も停滞気味になるかと思われますので、メッセージを頂いてもなかなか返せないということに
なりそうです。
気長に待って頂ければ幸いです。

それでは、メッセージありがとうございました!


急な停滞宣言になってしまい申し訳ありませんでした。
まだ暫くこの状態が続くかと思われますが、見ていてくれている方々がいるというだけで幸せです。

しかしやはり師走は文字通り忙しい! 年が明けて3週目辺りに早くなって欲しいものです、個人的に。

それでは、続きを読んで頂ける方はどうぞお進みくださいませ。

(マリかえのがっつり百合です。苦手な方はご注意願います。)

【本日の戯言21】
人間、脳がヤバイ状態になると幻聴が聞こえるようです。
息抜きと称して『歌え!』の花組カメラを見ていたら、紅蘭とアイリスがお互いの衣装を着ているという場面の
後の切り替えの場面で、大変な声が聞こえました。

「かわいい愛ちゃん!」(マリアボイス)

画面には映っていないのですが、しかもその後クローズアップされることはないのですが……
何か聞こえました。
はい?と思いもう一度見直しても、聞こえる。
嘘だと思って相方様に検証を求めたら、彼女にも聞こえたそうです。

……中の人とキャラは別と考えておりますが、ごめんなさい萌えました。
(衣装パレードの時だったので、多分ジムの衣装を着ていた時だと予想。もしホントに言ってたなら、
 マリアさんは相当ジムなかえでさんがお気に入りのようですね。舞台でも言ってたことですしw)


+++++++++++++++


普段と何の変わりも無い、ある日の大帝国劇場の朝。
劇場の副支配人であると同時に、秘密組織帝国華撃団の副司令である藤枝かえでは、普段とは少しだけ
違った目覚めの時を迎えた。

コンコン
 
朝の静かなかえでの部屋に響いたのは、硬い扉を二度叩く音。
その聞きなれた軽い音によって夢の世界から切り離された彼女は、音と共に響いてきた声を聞く前に
ぱっちりと瞼を開いた。

「かえでさん、起きてる?」


花組メンバーの中で最もかえでと付き合いの長い少女の、普段の静かな声とは少しだけ様子の違う声に
時計を見れば、未だ早朝といえる時刻を指したまま。


だが彼女には、随分早い訪問だと悠長に構えているような余裕など全く無い。

「え、ええ起きてるわよ。」


すぐに身体を起こした彼女はどこかしら焦りの混じった声に向かって返事をし、昨晩脱ぎ捨てて椅子の上に
放置したままの上着を肩に掛けた。

そんな大慌ての彼女のすぐ横で身じろぎしたもうひとつの人影が、煩いとでもいいたげに頭までシーツを被る。
その様子に視線を落としてかえではひとつため息を吐くと、彼女はそのシーツの膨らみに手をかけた。


それと同時に、再びドアの向こうから声が響く。

「どこか悪いの?今日の稽古はお昼からだけど……もうみんな朝ご飯食べ終わってるよ。」


その言葉にかえでが再び時計を見れば、やはり時計は先程と同じ時刻を指したまま。
だがよく見てみれば、その秒針はぴくりとも動いていない。

どうやら早朝だとばかり思っていた現在の時刻は、彼女が考えていたよりも随分と遅いようだ。

「し、心配かけてごめんなさい。昨日遅くまで起きてたから、ちょっと寝坊しちゃったみたいね。」


自らのミスを察知したかえでは、急いでベッドから降りるとクローゼットから衣服を次々と取り出し始める。

そして床に散らばったままの衣服を集め始めた時、ドアの外から三度目の心配そうな声が響いてきた。

「あんまり夜ふかしすると、体によくない。大丈夫?」
「ええ、平気よ。すぐ起きて食堂に行くから。ありがとう、心配してくれて。」

ドアの向こうの声にその動きを止めたかえではにっこりと微笑むと、普段以上に明るい声で相手に言葉を
返した。

「どういたしまして。じゃあ、僕織姫起こしに行くから。」


ドアという隔たりがあるために、向こう側からかえでの姿は見えない。
しかしそうであるとはいえ彼女の返事の声に安心したのか、ドアの向こうの少女のそれは先程よりも
明るかった。


「ええ、本当にありがとう。」

パタパタという足音が部屋から遠ざかるのを聞きながら、かえではほうっと二度目のため息を吐く。
それには相手の少女の杞憂を解くことができたことによる安心感の他に、もう一つ理由があった。

「……」


かえでは脱ぎ散らかした衣服をまとめてベッドの上に置くと、その上にのぼってシーツの上の膨らみに
再び触れた。

そしてその物体を揺り動かしながら、部屋に響く程度の声でこう叫ぶ。

「マリアっ! マリア起きてもう9時よ!」


かえでに声を掛けられた彼女の恋人は暫くうとうとと目を擦っていたが、彼女の言葉を理解したのと同時に
はっと目を見開いて勢いよく起き上がった。


深刻な表情で見つめあった二人の身体は、生まれたままのそれそのもの。

普段のこんな目覚めならば感じられる筈の甘美な雰囲気はその間には全く無く、代わりにピリピリとした
緊張感が漂う。


二人の間の関係が外に漏れることなど絶対に許されない彼らにとって、朝寝坊というのはそれほどまでに
深刻な事態であった。
 
 
+++++++++++++++


時計が止まったことから二人揃って寝坊をするという不幸に見舞われた二人であったが、幸いマリアが
かえでの部屋から出るところを誰にも見られずに済んだため、彼らの関係が周りに露呈してしまうという
最悪の事態だけは回避できた。

またかえでを起こしにきたレニが部屋に入ってこなかったことも、不幸中の幸いといえるだろう。

それでも念には念を入れてお互いに食堂を訪れる時間をずらしたのだが、先に来たマリアが既に朝食を
食べ終えたさくらとアイリスに会ったのみで、かえでがそこに現れて以降人の出入りは無い。


奇しくも二人きりで朝食を摂ることとなった彼らは、他愛も無い話をしながらゆったりとした朝食の時間を
過ごしていた。


稽古の開始は昼食の後である。
舞台に立つ訳ではないかえでもまた、今日はそれに参加し副支配人としてメンバーと共に演目を煮詰める
という仕事のみ。
だからこそ他のメンバーは余裕のある朝の時間を、それぞれ有効に活用しているのだろう。


……しかしこの二人にとってはこの朝の余裕が昨晩の行動に結びつき、その結果寝坊してしまったので
あるが。


「初めてじゃない?2人だけで朝ご飯なんて。」

公演中ともなれば観客も交えていっぱいになる食堂は、今はたった二人きり。
そうで無くとも普段から個性豊かなメンバーのお陰で賑やかなこの場所が、今日はしんと静まり返っていた。

「そう、ですね……。」


そんな雰囲気の食堂をかえでは見回しつつマリアに問いかけたのだが、当の本人は未だ覚醒して
いないのか、返事をしながらもあくびを噛み殺している。

「辛そうね。昨日の疲れがまだ取れてないんじゃない?」


手にしたティーカップから唇を離すと、かえでは心配そうにそう問いかけた。

「そうかもしれません。」


口元にあった手の甲で目を擦ったマリアは、それでも気だるげな様子で言葉を返す。
そして暫く考えるような素振りを見せた後、ふと何かを思い出したかのように相手に視線を向けた。

「あの時計、いつ頃から止まっていたんでしょうね。」


唐突な言葉にかえでは食事の手を止め、頭の中で記憶を反芻する。

「えっと……昨日までは動いてたと思うけど。」

昨日の朝かえでが目覚めたのは、部屋の時計で普段通りの時間。
だが、昨日はここまで寝坊してはおらず、むしろ他の殆どのメンバーよりも早く目覚めていたほどであった。

「私が部屋に入った時には、多分私の部屋の時間より遅れていたと思います。
 私の時計が随分と進んでいたと思った記憶があるので。」


マリアの言葉に、かえでは再び自らの記憶に立ち返る。

朝起きた時、部屋の時計と他のものの時間に違和感を覚えた記憶はない。

そして午前中、昼間、夕方……そう記憶を巡らせていくと、かえでの記憶の中にも相手と同じような違和感を
覚えた場所が存在した。


「そういえばお風呂から出た後に、今日は随分早く仕事を片付けたと思ったのよね。いつもより早かったから。」

風呂から上がって部屋に戻り何の気なしに時計を見た時、それが指し示す時間が余りにも早かった為に
かえではそう感じたのである。
しかし今思えば、それは時計が既に遅れはじめていたからであり、彼女が部屋に入ったのも普段と
変わらなかった可能性が高い。


「やっぱり、昨日から遅れていたようですね。」
「そうね、もっと早く気づくべきだったわ。」

マリアの言葉に頷きつつ呟いたかえでの胸中には、後悔の念が渦巻いていた。

違和感を覚えたその瞬間に気付いていれば、今朝のようにはならなかったのである。
幸いにも大事には至らなかったものの、一歩間違えばどうなっていたことか。
今はたとえ仲間であっても自分達の関係を打ち明けるべきではないと考えている彼らにとって、
共に夜を過ごした朝に他の日との違いがあってはならないのである。

「でも……」


次があってはならない、とかえでがひとり心のなかで思いを新たにした時、ふとマリアの呟く声が耳に入り
顔を上げた。

「昨日寝た時間、かえでさんは覚えていますか?」
「寝た時間……?」

お互いの視線がかち合うのと同時に紡がれたマリアの意外な問いかけに、再びマリアは昨日の記憶を
呼び起こす。


かえでが大浴場から部屋に戻って暫くすると、いつものようにマリアが洋酒を持って彼女の部屋を訪れた。
確かその時間もかなり早かったとかえでは今になって思い出したのだが、それも時計が壊れかけていた
せいなのだろう。

とにもかくにも部屋を訪れたマリアを招き入れ、お互いのグラスに酒を注ぎ、それを傾けながら暫く談笑をして、
その後には……。


朝から考えることではない、とすぐにかえでは一瞬だけ頭に浮かんだ記憶の断片を慌てて消し去った。

そうするとその先は、先程マリアが示した時間である。
ずっと昂り続けた気持ちが徐々に落ち着きを取り戻しつつあったものの、それまでの気だるさが
一気に押し寄せ泥のように眠ったその時間。


それは普段と変わらなかった筈……とかえでは結論付け、そしてすぐに違和感を覚える。

確かその時部屋の時計はもう遅れてはじめていた。
もし実際に彼女がいつもと同じ時間に眠ったのなら、その時刻は普段よりも早い時刻を示していた筈である。し

しかし彼女には、普段よりも早く寝たという記憶はない。
ただあるのは、体力の消耗が普段よりもひどかったというくらいで……。

自らの記憶をそこまで反芻した瞬間、かえでの中にひとつの結論が浮かぶ。

そして同時に彼女は頬を真っ赤に染め上げると、マリアの視線から逃れるように下を向いて
黙り込んでしまった。

「通りで寝坊、する筈ですね。」


そんな状態の彼女に代わり、マリアがぽつりと呟く。

突きつけられた事実のあまりの衝撃にかえではこくこくと頷くのみで、言葉を紡ぐことさえできない。

だが、そんな状態であってもかえでの耳は正常に働いていたらしく、下を向いた自分の姿を愉快そうに笑う
マリアの微かな笑い声を捉えた。

「……そんなに笑わなくてもいいじゃない。」


火照った頬を両手で押さえながらかえでが相手を見上げると、口元に手を当ててくすくすと笑っている
マリアが映る。


彼女は暫く笑った後、まるで子供にするかようにかえでの頭を撫でながらこう呟いた。

「昨日も思いましたけど、可愛いですよ……かえでさん。」


その言葉にかえでは再び頬を染めるが、徐々に別の感情がふつふつと沸いてくる。

昨晩の情事を思い出したのはマリアとて同じ筈。
しかし表情ひとつ変えない彼女に対し、かえでは一人舞い上がっていた。
更に年下である筈の彼女に笑われた上「可愛い」とまで言われるとは……!


そんな妙な悔しさから、かえではヘソを曲げた子供のような目でマリアのグリーンの双眸を
見つめ返そうとした。

だが彼女の瞳が再び相手のそれと重なるより前に、マリアの口元の辺りでふとその動きが止まる。

そこにはほんの少しだけ、彼女の唇の色よりも赤い色が付いていた。
どうやら朝食のジャムが、マリア自身も気づかないうちに付いてしまったらしい。

「マリア、ついてる。」


かえでがそう指摘すると、マリアはきょとんとした顔でかえでを見下ろした。
この様子では、どうやら言葉の意味を理解していないようである。
そんな彼女に向かってかえでは先程までとはころりと表情を変えて微笑むと、その口元に手を伸ばした。


だがその手は唇に届く前に一瞬だけ止まり、軌道を変えてマリアの頬に添えられる。
そしてかえでは少しだけ高い彼女の口元に自らの唇で触れると、軽く舌を出してそこをぺろりと舐めた。

ほんの少し前までかえでの口の中にも残っていた甘酸っぱいジャムの味が、また彼女の口腔に
ほのかに広がる。


そして彼女が口づける前に反射的に閉じた瞼を開いた時、食堂の中に賑やかな声が響いた。
 
「織姫。まだ寝てるの?」
「起きてますよ~…」

唐突なその声に、かえでは口付けの余韻を楽しむ暇も無くマリアから離れる。
相手の表情を見るより先に入り口を見た彼女の瞳には、フラフラと未だ夢と現実の間をさ迷っていると思われる
織姫と、彼女の身体を支えるレニが映った。

「ああっ立ったまま寝ちゃ駄目。」


倒れそうになる織姫を慣れた様子で支えるレニ。
そんな彼らの様子を見る限り自分の行為を見ていないことは明白だと考えたかえでは、
ほっと胸を撫で下ろすとすぐに椅子から立ち上がった。

「織姫……もう、仕方ないわね。」


そんな2人の様子を見ると放ってはおけない、こんな風にかえでの母性が強くなるのはいつものこと。
彼女はすぐに二人の元に駆け寄ると、身体の小さいレニに食事を取って来るように言い、彼女に代わって
織姫を支えた。


一方その頃、椅子に座ったまま動かなかったマリアの表情にふとした変化が現れる。
つい先程のかえでまでとはいかないもののほんのりと頬を染めた彼女は、ふっと微笑んでその口元を
自らの舌で軽く舐めた。


勿論そこは、かえでが先程口付けたのと同じ場所。

「あ~、マリアさんの横がいいでーす……。」
「はいはい、分かったわよ。だから早く目を覚ましなさい。」

そんなマリアの様子などは露知らず、かえでは織姫を半ば引きずるようにして自分達が居た場所まで
連れてくると、彼女を要望通りマリアの隣に座らせる。

すると織姫は半分だけ開いていた瞼を再び完全に閉じ、マリアの肩に寄りかかって再び眠り始めた。

「もう、仕方ないわねぇ……」


自分の座っていた席を譲った形になったかえでは、食べかけの食事をマリアの正面の席に移しながら
ため息を吐く。

だがそうであっても、彼女の口元には優しい笑みが浮かんでいた。

「ありがとうございます、かえでさん。」


その表情のままでかえでが再び織姫に声を掛けようとした時、唐突にマリアが彼女に声を掛ける。
それにつられてかえでが彼女の方を振り向くと、マリアはにっこりと微笑んでこう小さく呟いた。

「とっておきの、目覚ましになりました。」


そう言いながら、自らの口元を指差す。
眠ってしまった織姫は、自らのすぐ傍で交わされる会話に気付いてはいない。


その仕草にかえでは頬を再び軽く染め、だがすぐにマリアに向かってにっこりと微笑みを返した。

「う~ん……お腹すいたでーす……。」


見つめあう二人のすぐ傍で、織姫がむにゃむにゃと寝言を呟く。
その声に同時に目を丸くした彼らは声の主の方を見、そして先程までのような恋人同士のそれとは違う、
慈愛に満ちた笑みを浮かべた。

「……たまには、寝坊するのもいいものですね。」

織姫の髪を撫でながら、マリアがぽつりと呟く。

「たまには、ね。」


くすくすと笑いながらかえでは相手にそう言葉を返すと、織姫の朝食を運んできたレニに向かい
ひらひらと手を振った。
 
いつもとは違う朝。
しかし普段と変わらない幸せが……ここに。


+++++++++++++++
マリかえとモトホシを並べると、どうしても親子にしかならない私の脳内。
姫は9時にレニが起こしに来てもすぐには起きず、10時になってやっと着替え完了。
そしてレニに引きずられて食堂に来て1時間かけて半覚醒のまま朝ご飯。
食べ終わった頃にやっと起きればいいと思います。

レニも本当に保護者だな、なんか……。
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全体的に女性キャラ同士が非常に仲の良い描写が含まれること、更に製作物によってはキャラが崩壊していることがございますので、観覧の際はご注意下さるようお願い致します。

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