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※注意※
※以下マリすみルートにつき
※勿論百合でございます



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「あら、どうしたの? いきなり子供みたいに泣きだして」

止めどなく溢れる涙を堪え切れずにいると、すみれの耳にそんな穏やかな声が降りてくる。
彼女は声と同時に頬に触れた細く長い指先に誘われるがままに視線を上げると、座っていた筈のマリアが
いつの間にか立ち上がって彼女を見下ろしていた。

「そのお見合いとやらに出るのが、嫌だったのかしら?」

マリアはそう囁いて彼女の頬に新たな筋を作った涙を掬うと、その舌先でぺろりと舐める。
肌が白い為だろうか、すみれの目にそれはいつも他の誰のものよりも赤く見えた。

「もう、いいですわよ……そんな話は」
「やっぱり、さっきの話は嘘だったのね」

彼女の手を振り払いその涙を隠すように視線を逸らせば、嘲るような笑い声と共にそんな言葉が突き刺さる。
結局いいように遊ばれた形になってしまったことは癪なのだが、このままこの場に居ても散々馬鹿にされるのが
関の山。その上この場所では下手をすれば他のメンバーにまでこの醜態を晒す羽目になってしまうだろう。

そう考えたすみれは漸く乾き始めた涙を手の甲で拭い、笑みを浮かべたままのマリアに背を向ける。
だがそのまま歩き去ろうとした瞬間、後ろから伸びてきた手が彼女の足を強引に止めさせた。

「ヘタな嘘までついて、一体何が知りたかったのかしら?」

引き寄せられた先で感じたほのかな相手の温もりの中で微かに響いた、冷たい彼女の囁き。まだ赤い眼のままで
ぎっと睨みつければ、相手は正にポーカーフェイスといった微笑みを返してくる。

その翠の瞳の奥にある真実は、やはり彼女には分からない。

そう痛感したすみれは自らの腕を掴んでいた手を振り払うと、振り返ることなくサロンの外へと飛び出した。
治まってきていた筈の涙が再び溢れだしたのだ。これ以上彼女に格好の餌を与える筋合いは無いだろう。

そう考えて扉を開けた彼女にたった一人残された相手のこんな囁きが聞こえた気がしたのは、羞恥と怒り、
そして悲しみの混じった感情が創りだした幻聴だったのだろうか。
 
「もう一度、出直していらっしゃい」


りせっと!
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