かえすみルート

※注意※
※以下かえすみルートにつき
※勿論百合でございます

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ドアノブに手を掛けるより早くかちゃりという音が響き、すみれは反射的にそれから手を離す。
先程の声のことを考えれば出てくるのはどちらかとしか考えられず、彼女は慌てて辺りを見回し身を隠す
場所を探した。

「あら、丁度よかった。今呼びに行こうとしていたのよ」

だがそう簡単に都合のいいところが見つかる筈も無く、結局すみれはサロンから顔姿を現したかえでと簡単に
鉢合わせてしまった。元々部屋に入ろうとしていたとはいえ心の準備もできないまま当人と顔を合わせる形と
なった彼女は、声を掛けて来た相手に返事をすることさえできずに口を噤んでしまう。
そしてあろうことか、かえではそんな彼女に向かって更に惨い仕打ちを与えたのである。

「ねえ、すみれはショート……」

形の良い彼女の唇からその言葉が紡がれた瞬間、すみれの頬がぴくりと引き攣り、またその背中が微かに
震えた。

「ショートなんて好きではありませんわ！！」

盛大な怒鳴り声を劇場じゅうに響かせたのと同時に、彼女はかえでに背を向けて走り出す。
心の奥底から湧き上がって来た様々な想いはやがて、その瞳の淵から止めどなく溢れだしたのだった。



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