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※注意※
※以下かえすみルートにつき
※勿論百合でございます




++++++++++++++

まるで彼らから逃げるように来た道を戻ったすみれを迎え入れたのは、普段通りの見慣れた彼女の部屋。
だが同じようにいつも通りの情景となっていた筈のほんの数分前までの光景が、彼女にはまるで幻のように
感じられた。

『あなたの髪、とっても綺麗ね』

すみれの栗色の髪を指で掬いながら、かえでがそんなことを言ったのはいつのことだっただろう。
そんな風に髪を梳かれ、そしてその温かな笑顔を見る度に胸の高鳴りを覚えたことでさえ、彼女にはとても
遠い過去のことだったように思える。

あの時の言葉は、全て嘘だったのだろうか。
ならばその偽りに対する自分の感情は、一体何だというのだろう。

そんな幻想と果ての無い疑問を振り払うように、すみれ音を立てずにドアを閉めた。
すると部屋の外の喧噪が遮断され、部屋の中が沈黙に包まれる。
静かな部屋には慣れている筈なのだが、今のすみれにはそれが酷く淋しく思えた。それは幼い頃に嫌という程
感じたそれと変わらない、耐えがたい苦痛。だがそれでもあの頃のように泣き喚くことをしないのは、彼女がもう
大人になってしまったから。

もしも彼女が子供のように泣きじゃくったら、かえではすぐに駆けつけてくれるのだろうか。
 
「……らしく、ありませんわね」
 
そこまで考えたところで、すみれはそう一人呟いてふっと息を漏らす。
そんな彼女の口元には、自嘲的な笑みが浮かんでいた。


→そのまま部屋に居る
→部屋を出る

→りせっと

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