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※注意※
※一応カンすみルートなので
※百合注意……(当社比)



+++++++++++++++


「ありがとよ。まあなんだ、おめぇも慣れねえことすんじゃねえぞ」

どこかくすぐったいような気持ちを抱えたまま、カンナはそう言ってにっこりと微笑む。そしてふと視線を移せば、
すみれの手が彼女の視線と同じ高さで握られていた。

否応にも武骨になってしまった自分のそれとは違い、女性らしく繊細な指。それを暫く見つめていたカンナは、
次の瞬間には自らの手をごく自然にそれへと伸ばしていた。
固く握られていた筈のそれは、カンナに触れられると力が抜けてしまったかのように簡単に解けてしまう。
やわやわとその滑らかな感触を楽しんだ彼女は、最後に少しだけ力を入れてそれをぎゅっと握った。

「トップスタアの手が包丁の傷だらけじゃ……かっこわりぃだろ」

そう言って見上げれば、呆然としたままのすみれの顔が映る。
そして彼女の頬の赤みが先程よりもずっと濃くなっていることに気付いた瞬間、まるでそれにあてられた
かのように自らの体温までもが上がったように感じた。

「そっ……そんなヘマいたしませんわよっ!!」

そんなすみれの声と同時に、カンナの手の中にあった暖かな相手のそれは強引に振りほどかれる。
すると彼女はどこかほっとしたような気持ちになったのと同時に、心のどこかにぽっかりと穴を空けられたような
淋しさを確かに感じた。

「ま、本見て一人でやるより誰かとやった方が覚わるってもんだ。あたいが今度沖縄料理教えてやるよ」

そんなシリアスな感情を振り払うかのようにカンナはそう言って笑うと、未だ赤い顔をしたままのすみれの背中を
ぱしりと叩く。当然十二分に手加減をしたつもりだったのだが、叩かれた方は小さな叫び声を上げると前に
躓くような形になってしまった。

「ぐっ……結構ですわよっ! カンナさんのお料理は豪快すぎて繊細なわたくしには向きませんわ」

叩かれた場所を摩りながら、すみれはそう言ってぎっとカンナを睨みつける。
照れ隠しから生まれた彼女の行動は、どうやら相手に火を点けてしまったらしい。
だがそんなすみれの鋭い視線も慣れてしまえば何のことは無い。
それを受け止め、弾き返してしまえばいいのだから。

「どの口が繊細だって? ほっとくとじゃがいもまるごと茹でそうじゃねえか」
「なんですってー!!」

きいいという奇声を響かせたすみれは、ここぞとばかりに罵詈雑言を並べたてる。
一方のカンナも負けじと、彼女に向かいあること無いこと全てをぶつけ始めた。

こうして本日二度目となる二人の大喧嘩の幕は切って落とされたのである。
既に帝劇の日常風景と化しているそれは、同じように日常と化したマリアの怒鳴り声が響くまで続いたのだった。



⇒もう少し二人の様子を見てみる?

⇒RESETする
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