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※注意※
※一応カンすみルートです
※百合注意……?(当社比)



+++++++++++++++


「なっ………あたいだって服くらい、いや、でもこれはあたいのじゃねぇぞ!」

普段通りのすみれの言葉であったものの、カンナの返答はどこか歯切れの悪いものであった。
口喧嘩に勝つならば勢いが何よりも大切なのだが、彼女の言葉に普段のそれは微塵も感じられない。
だがどこか泳いでいるようだった彼女の目が次の瞬間、獲物を見つけたかのように爛々と輝いた。

「おめぇこそ料理本が世界一似合わねえもんな」

自らが持ったままの本をすみれに突きつけると、口元に嫌味な笑みを浮かべて捲し立てる。

「でっですから、これはわたくしのではないと申し上げているでしょう!」

すると今度はすみれが歯切れの悪い言葉でそう切り返し、焦りとも取れるような大声でカンナを怒鳴りつけた。
それもその筈、彼らが持っているのは互いに互いのものなのである。だがどうしても、彼らにはそれを周りに
知られたくない理由があった。

不自然に折り曲げられた、紙と紙の間の頁。それを捲られたらお仕舞なのである。

「いい加減にしなさい二人とも!!」

やがてそんな不毛な争いに終止符を打ったのは普段通りマリアであった。帝劇で最も怒らせてはいけない
ということは彼らも身に沁みて分かっているものの、未だに怒鳴られる回数は年少のメンバーよりも多い
くらいである。
そしてよく分かっているからこそ、彼らは不機嫌なマリアに逆らうことができないのだ。

例え秘密の塊である、それらの本を取り上げられてしまったとしても。

「とにかく、持ち主が居ないのならこれは図書室に置いておくから」
「お、おいマリア……」
「マリアさん……」

あまりにも理不尽なその行動に二人は思わず声を上げたものの、振り返った彼女の鋭い眼光に二の句が
継げる筈も無い。すると呆れたように溜息を吐いたマリアは踵を返し、サロンから静かに出て行ってしまった。

こうして二人の本は、彼女によって図書室の蔵書となってしまったのである。


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